臨床検査技師さんに必要な力とは?
2017年4月9日科学専攻 広報担当の藤巻です。
今週は日本感染症学会に参加してきました。学会で得られる最新情報は、学生教育や研究や診療に、とても役立ちます。
今回興味深かった講演の1つに、細菌検査のお話がありました。
細菌検査は、患者さんからの検体(痰など)にどんな細菌がいるのか調べる検査で、臨床検査技師さんの仕事の1つです。基本的な検査に、検体を顕微鏡で観察する検査や、寒天培地に塗って目に見える集落(コロニーといいます)を作る培養検査があります。コロニーは細菌や使用培地により性状が異なるので、細菌の同定に役立ちます。でも、培養には少なくとも一晩かかりますし、一回の培養だけでは、細菌を絞り込むことはできても特定することは難しいです。
講演では、短時間で効率よく細菌を同定できる質量分析や遺伝子を利用した新しい検査が次々と紹介されました。しかし、講演された先生が強調されたのは、機械が判定した菌名を鵜呑みにせず、患者さんの状態はどうか、検体はどこから採取されてどのような性状だったのか、コロニーの性状はどうだったのか、すべてを総合して細菌を特定することが大事である、ということでした。つまり、臨床検査技師さんには、機械任せにせず五感を研ぎ澄ませて総合的に判断する力が必要だということです。
私もその先生のメッセージに同感です。ですので、臨床検査技師を目指す学生さん達には、知識や技術とともに、総合的な判断力を身につけて頂けるようにしたいです。
← アメリカ微生物学会 主催のAgar Art contestに出品された作品で、絵の正体は寒天培地に発育した細菌です。今回の講演で本コンテストを初めて知りました。詳細は、同学会の下記サイトをご覧ください。
https://www.asm.org/index.php/public-outreach/agar-art