学びと教育
【第5回】あなたの食が地球を変える
「今日のランチ、何にしよう?」──そんな日常のちょっとした選択が、実は地球の環境にまでつながっているとしたら、どう感じますか。
何をどう食べるかは、私たちの体の健康に大きく関わっています。でも、食の影響はそれだけにとどまりません。私たちの食の選択は、地球温暖化などの環境問題にも深く関わっているのです。この問いを、私はかねてから追いかけています。
地球温暖化の原因となる温室効果ガスは、私たちの食生活とも密接な関係があります。実は、食料の生産・加工・輸送・廃棄までの一連の過程で出る温室効果ガスは、世界全体の約3割を占めるとされています。さまざまな人間活動によって生じる温暖化の問題ですが、「食べること」がこれほど大きな割合を占めているとは、驚きではないでしょうか。
では、何ができるでしょうか。例えば、牛肉や豚肉などの赤肉は、鶏肉や魚、卵や大豆製品などに比べ、生産の過程で排出される温室効果ガスがずっと多いことが知られています。赤肉を豆腐や納豆、魚に置き換えてみるだけでも違います。また、地元でとれたものや旬の食材を選ぶと、輸送に使うエネルギーを減らすことができますし、地域の農業を支えることにもつながります。
スナック菓子や清涼飲料水など、高度に加工された食品の摂りすぎも、実は健康だけでなく、環境負荷の観点からも懸念されています。製造・加工・輸送のあらゆる段階でエネルギーや資源を大量に消費するためです。WHO(世界保健機関)などの海外の食事ガイドでも、素材に近い本物の食品を選ぶことの大切さが強調されています。自分の体のためにもなる選択が、環境への配慮にもつながっているのです。
さらに、食べ残しや食材の廃棄を減らすことも大切です。日本では毎日1人あたりおにぎり約1個分のご飯に相当する食べ物がまだ食べられるのに捨てられています。買いすぎず、使いきる工夫も、環境への貢献につながります。
とはいえ、「食事を変えても、すぐに地球環境がよくなるの?」と疑問に思うかもしれません。確かにそうです。でも、体の健康と同じで、環境の健康も、変化は少しずつ、静かに積み重なっていくものです。だからこそ、「誰かがやるだろう」ではなく、自分ができることから始めてほしいと思います。そのひとつひとつは小さくても、毎日の積み重ねが、自分の体と地球の両方を守る力になります。
私たちが作成した『人と地球の未来をつくる「健康な食事」実践ガイド』では、生活スタイル別に具体的な工夫を紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。あなたの「食」の選択は、社会と地球の健康にもつながっています。今日の一食から、一緒に始めてみませんか。
※参考:「人と地球の未来をつくる『健康な食事』実践ガイド」
https://llab.eiyo.ac.jp/shokuseitai/kenkounasyokuji/guide.html
林芙美 教授
デラウェア大学を卒業、コロンビア大学教育大学院を経て東京医科歯科大学大学院を修了(医学博士)。専門は栄養教育。『人と地球の未来をつくる「健康な食事」実践ガイド』を作成し、健康で持続可能な食生活に貢献。