JOURNAL KAGAWA ヨクシル
栄養学の、その先へ

栄養イノベーション専攻

栄養イノベーション専攻名称変更

栄養学の、その先へ

2025年4月より保健栄養学科栄養科学専攻は、保健栄養学科栄養イノベーション専攻へ名称変更いたします。単純な名称変更に留まらず、教育内容を見直し、本来栄養科学専攻が強みとしていた栄養士養成を礎とし、変化の激しい時代に対応できる発展的な学びのカリキュラムを整えました。

人生100年時代、どう健康にいきるか

 現在の平均寿命は男女ともに80歳を超えていますが、医学の進歩などにより、2007年以降に生まれた人の半数はなんと107歳まで生きるという推計データがあります。今、高校生である方たちが107歳になったとき、世の中はどのように変わっているでしょうか。一般的に科学技術が進歩すると世の中が変化すると言われています。100年先はAIやロボットが人間の代わりに、より高度な仕事をすることで人間は働く必要がなくなるかもしれません。

 テクノロジーの進化で世の中は大きく変わるかもしれませんが、人間が人間である以上、「食べる」ことは変わりません。時代や文化とともに「食べ物」や「食べ方」が変わっていくことはあっても、人が「食べる」ことをやめることはできません。人生100年時代、どう生きたいでしょうか。100年以上生きるなら、自分の足で歩き、元気で健康に生きたいですよね。女子栄養大学は変化の激しいこの時代に、人が「食べる」という変わらないこと対し真摯に90年以上向き合ってきました。

キーワードは「Well-Being」

 Well-Beingは直訳すると「良い状態であること」という意味ですが、今の社会、世界、地球は「良い状態」にあるでしょうか。自分自身が107歳になったとき、地球は今よりも良い状態になっていると思いますか。Well-Beingを達成するには、人々が健康であるとともに、社会がそして地球全体が健康である必要があります。2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標であるSDGsの17の目標すべてに食の分野は関連しています。

 Well-Beingの達成に対して、栄養学からアプローチするとき、まず自分自身の1食の食事から考えます。それは1日、毎日、1年、毎年と時を重ねるとともに、家庭や学校、職場のサイズに広げ、地域に広げ、国に広げ、世界に広げ、地球規模で考えていきます。また、食物の多様性だけでなく、人間の多様性、社会環境の多様性についても考える必要があります。

女子栄養大学×SDGs

栄養学だからできること~栄養イノベーション専攻~

 栄養科学専攻という名称から「食や栄養の分野から新しい価値を創り出し普及させる」そうした想いから栄養イノベーション専攻という名称に変更し、学問領域を整理し学びの内容をさらに充実させました。 

フード・ウェルネス領域 

~食品の科学~

 

食べ物の生産・加工・流通・消費までを総合的に理解し、人々の生き生きとした暮らし(ウェルネス)のために、食品、美容、製薬などさまざまなフードウェルネスビジネスで新たな価値やモノを創出できる人材を養成します。

データサイエンス領域 

~栄養情報の科学~

 

栄養素・食品・食事の多様かつ大量のデータを分析・活用する力を修得し、ビジネス、行政、さらには大学等の研究機関でAIやICTを活用した新たなアイデアやサービスを創出できる人材を養成します。

臨床検査学領域 

~からだの科学~

 

生体の検査データへの食事の影響を理解し、適切な検査技術と判断力を身につけ、病気の予防、早期発見、治療に貢献できる人材として医療現場で活躍する臨床検査技師を養成します。

家庭科教職課程

~中学校・高等学校教諭一種免許状【家庭科】~

 

家庭科教育でのデータサイエンスの活用、フードシステムやフードセキュリティなどの社会課題の解決に強い家庭科教諭を養成します。家庭科教諭として、生活の科学的な理解や課題を解決する力持続可能な社会を創造する力を育てます。栄養士に加え、フード・ウェルネス領域栄養データサイエンス領域にて家庭科教諭一種免許の取得が可能です。

 

先生からヒトコト

▲石田 裕美 先生

▲石田 裕美 先生

 栄養学を学ぶことで、人々の健やかな成果に向けて「食」についての新しいアイデアや価値を生み出し、社会に普及していくことができます。そのために、まずは107歳まで健康で生きる自分のことを考えてみてください。そしてそれを家族や友人、地域の人々に広げ「栄養学だからできること」を見つけてください。持続可能な社会を達成するためには、食に関する問題の解決は不可欠です。人間も地球もよい状態(well-being)にしていくためには、生涯にわたり、誰もが健康な食事を摂れる社会が続いていく必要があります。栄養学の力を使って地球規模の大きな課題を一緒に解決してきましょう。

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