2023.12.11
学園
研究戦略から経営にかかわる
この方に聴く 食品企業の研究戦略統括部長に聴く<第6回>
―現在のお仕事について、お聞かせいただけますか。
研究本部の研究戦略統括部で、経営戦略のもと、社内にある4つの研究所(商品開発研究所・技術研究所・乳酸菌研究所・品質科学研究所)に横串をさし、本社と研究所の連携を進める仕事をしています。研究戦略のプランニングから実施までをサポートする役割があります。
―入社してからはどういう経験を積まれてきたのでしょうか。
入社したのは当時の明治製菓でした。20代は、食品ではなく業務用酵素、素材の研究に携わっていました。30代には、研究所の再編で、食品開発(中身のモノづくり)に取り組むことになり、その後、本社に異動となり、商品企画としてのコンセプトづくりからパッケージの考案、マーケティングに至るまでの業務全般を経験しました。再び、坂戸の研究所に配属になり、食品の開発だけではなく、機能性など食品に関する情報づくりに関わるようになりました。この時が課長として配属された管理職のスタートでもあります。その後、明治製菓と明治乳業が経営統合し、新たな体制のもとで、小田原研究所、本社勤務を経て、2017年八王子に乳業部門と製菓部門の研究開発拠点を統合した新たな研究所が完成したのを機に、研究本部で栄養研究部長などを経験してきました。
―学生時代はなにを学び、なぜ御社を選んだのでしょうか。
大学では農芸化学を専攻していました。当時は、ライフサイエンスやバイオインダストリーが注目されていました。この会社ならば、新しい科学や技術に触れて、研究ができておもしろそうと興味を持ちました。
―入社当初は、坂戸に勤務されていたそうですね。
坂戸の工場の一角にある研究所への配属でした。ですので、坂戸にキャンパスのある女子栄養大学には親しみを感じています。この地は、懐かしくもあり、社会人としての起点となる大切な場所でもあります。
―食品の開発や研究には、どういったおもしろさがあるとお考えですか。
食品そのものにおもしろさを感じています。食品は種類も含まれる成分も様々ですし、食べる人々も様々ですので、工夫できる範囲が広いのが魅力です。また、おいしかった、おいしくなかった、どういう味がしたなど、消費者の反応がすぐみえるおもしろさもあります。また、食べた直後だけではなく、栄養状態をよくして健康の維持や改善につなげていくので、時間軸も短期的なところから長期的なところまで様々なスパンで手応えを感じることができます。こうした手応えが感じられる仕事は他に思い当たりません。さらに長い年月をかけて伝承していくことで食文化が形作られていくといったような奥深さもあります。
そして食品開発には、多様な切り口があります。当社の商品でもあるヨーグルトでは腸内細菌があげられます。腸に住む菌の種類によってさまざまな働きがあり、体調や心の状態と密接な関わりを持つこと、それに乳酸菌や乳酸菌の作る物質が寄与することも、最近具体的にわかってきました。食品としての広がりや深みがある上に、科学的な解明が進むほど新たな切り口がうまれてくるので、おもしろさが尽きることはありません。
―これまでのご経験の積み重ねがあるからこそ、おもしろさに気づくことができているのでしょうか。
職務による自身の経験だけではないように思います。お客様からいただくご意見も経験を深めてくれます。ポジティブなご意見は率直に嬉しいですし、厳しいご意見に出あうと自分が知っている食の世界が狭いことへの気づきをいただけます。経験には,お客様や周囲から刺激を受け、知らず知らずのうちに培われてきた部分もあるように思います。
―組織のなかでの管理職ポストへの向き合い方について、教えていただけますか。
明治では、管理職ではなく、経営職という言葉を使っています。管理職という言葉には管理する側、される側のイメージがありますが、経営職ですと経営に一歩近づくと受け止めることができます。研究所の将来や会社の将来を考え、自ら関わっていくことになりますので、目線をあげて多角的にとらえることが必要になります。こうした意識は、本来全員に必要なことですが、私にとって経営職になることは、そのきっかけを得ることになりました。大事なのは、仕事や部下を管理するというのではなく、経営に関わるという向き合い方だと捉えています。
―これからの人たちはそうしたポストを目指していくことになりますが、そのポストを経験したからこそ、わかったことがありますか。
自分自身、担当者だった時は、常に最良を目指していました。そうすると、上司との考えの違いが生じることもありました。今思うと、上司は最悪のケースに備えた判断をしていたのだと思います。今は、最良を目指しながら、最悪のケースに備える、全体のバランスがとれるよう個々の折り合いをつけることにも配慮しています。今になってみて、その当時の上司がなぜそういう判断をしたのか、その意味を理解できることもあります。部下の成長のためにあえてもう少し時間をかけるという判断も、このポジションになってみてわかったことです。
経営職をめざして、課長になったらこうしようと考えるより、「いつでも課長になれます」と準備しておくことも大切だと思います。
―社内で初めての女性の執行役員と伺っています。日本の社会ではまだまだ女性の登用が進んでいない状況もあるかと思いますが、いかがでしょうか。
20~30代の頃を振り返ると、実は昇格はそれほど早くなかったように思います。もっと責任のある仕事をしたいという気持ちもありました。ただその後、自分なりに仕事をまわせるようになると、女性だからということは一向に気にならなくなりました。執行役員になり初めての女性ということで、逆に改めて女性であることを意識するようになりました。企業においても多様性が求められる時代となり、多様な人材を登用しようとする考え方が広がってきています。
執行役員となったことで、社外で同様の立場にある女性たちとの横のネットワークが増えてきました。そうしたネットワークを通して成長させてもらっていることもたくさんあり、感謝しています。
―社内での経営職で女性は増えてきていますか。また、妊娠、出産、育児といったライフイベントへの対応に変化はありますか。
社内全体の意識が変わってきていると感じますし、実際に経営職に就く女性も増えています。また、そうしたライフイベントをサポートするための福利厚生も充実し、以前に比べると手厚くなってきています。育児休暇を長期に取得する男性も増えてきました。女性だけに負担がかからない社会にすべきですし、制度だけではなく意識や行動も変わっていくべきだと思います。
―今、考えている社会課題はありますか。その解決にどのように取り組んでいますか。
食の仕事に携わり、栄養に長年関わってきていますので、今の日本における栄養不良、特に低栄養の方々の存在を重く受け止めています。日本では様々な場所で様々な食品が売られていますし、情報もたくさんあるのに、未だに高齢者や若い女性で低栄養の問題がみられます。肥満など過剰栄養の問題も疾病との関わりで重要ですが、そのことへの警鐘を鳴らしすぎることで、低栄養を生み出すことのないようにとも思っています。 こうした低栄養や過剰栄養の問題に対応するために、弊社では独自に栄養プロファイリングシステム1)を開発しました。食品に含まれる栄養素の量などを科学的な根拠に基づき分析・整理することで、それぞれの食品の栄養価値を評価することができます。この仕組みで栄養価値の高い評価を得られる食品が企画・販売されるようになると、良質の食品が日本の市場に出回ることになります。また、食品とともに情報も提供することで、健康のためになにを選択し食べればよいかがわかりやすくなります。
―国際的な動向では、サステナビリティの観点から企業の栄養に関する取組みも変わっていくように思いますが、いかがでしょうか。
新しい価値観や概念が企業に浸透し、変化していくには時間が必要です。だからこそ、方向性を共有し、そこに近づくよう、継続して取り組むことが大切だと考えています。SDGsの推進をみても、今では小学生が当たり前に学校で学ぶようになり、ここ数年で大きく変わりました。 今年10月に、SDGsを推進する国際NGOのWorld Benchmarking Alliance(WBA)が、農業・食料サプライチェーン分野の世界の主要企業350社のサステナビリティを評価するランキング「食料・農業ベンチマーク(Food and Agriculture Benchmark)」の2023年版を公表しましたが、評価の4つの観点には、環境とともに栄養も位置付けられています。総合順位でみたとき日本企業では味の素が最も高い16位、明治はそれに続く2番目の37位でしたが、この2社は栄養での貢献が評価されていました。栄養からサステナビリティに貢献していくことも、これからの社会に求められる重要な要素となります。
―栄養学、そして本学への期待について、お聞かせいただけますでしょうか。
食品の種類や成分も様々、人間の健康状態や食べ方も様々で、食事は毎日のことですから、栄養学はまさに実学です。このため、女子栄養大学や、管理栄養士・栄養士の方々に期待することは大きいです。栄養学には、鳥の眼、虫の眼、魚の眼のいずれの見方も必要になります。鳥の眼では俯瞰的に社会全体を見据えた健康、食料のあり方について、虫の眼はまさに目の前の日常、今日のごはんのこと、魚の眼は社会や人がどう変化していくのか、将来に向けて流れを読むといったこと。当社にも女子栄養大学の卒業生がいますが、女子栄養大学ではこうしたモノの見方や考え方を身に付けて、社会に出ているように思います。デジタルの進化などにより、管理栄養士や栄養士の皆さんの栄養業務もこれから大きく変わっていくことになりますが、やり方が変わっても、基本的な考え方は変わりません。基本的な考え方が身に付いていれば、状況が変化する中で生まれてくる新たな仕事にも対応できます。ですから、そうした考え方、多角的な見方が身に付いた人材の養成が大切です。そして、そうしたモノの見方を周辺に拡大していくことも大切です。栄養学だから、女子栄養大学だからできることだと期待しています。
この方に聴く 栄養学でイノベーションを起こす<第1回>
この方に聴く 栄養学でイノベーションを起こす<第2回>
この方に聴く 栄養学でイノベーションを起こす<第3回>
この方に聴く 栄養学でイノベーションを起こす<第4回>
この方に聴く 栄養学でイノベーションを起こす<第5回>
栄養学の特徴の一つに学問領域の広さがあります。このため、「栄養学でイノベーションを起こす」をテーマに、様々な領域で活躍されている方々に、現在の取組みやその背景にある考え方、大切にしている視点などについてお聴きし、栄養学の可能性を追求していくことにしました。今回は、乳幼児から高齢者まであらゆる世代へ向けて幅広い商品を提供する株式会社明治で、研究戦略を統括し、女性で初めての執行役員となった河端恵子さんにお話を伺います。
―現在のお仕事について、お聞かせいただけますか。
研究本部の研究戦略統括部で、経営戦略のもと、社内にある4つの研究所(商品開発研究所・技術研究所・乳酸菌研究所・品質科学研究所)に横串をさし、本社と研究所の連携を進める仕事をしています。研究戦略のプランニングから実施までをサポートする役割があります。
―入社してからはどういう経験を積まれてきたのでしょうか。
入社したのは当時の明治製菓でした。20代は、食品ではなく業務用酵素、素材の研究に携わっていました。30代には、研究所の再編で、食品開発(中身のモノづくり)に取り組むことになり、その後、本社に異動となり、商品企画としてのコンセプトづくりからパッケージの考案、マーケティングに至るまでの業務全般を経験しました。再び、坂戸の研究所に配属になり、食品の開発だけではなく、機能性など食品に関する情報づくりに関わるようになりました。この時が課長として配属された管理職のスタートでもあります。その後、明治製菓と明治乳業が経営統合し、新たな体制のもとで、小田原研究所、本社勤務を経て、2017年八王子に乳業部門と製菓部門の研究開発拠点を統合した新たな研究所が完成したのを機に、研究本部で栄養研究部長などを経験してきました。
―学生時代はなにを学び、なぜ御社を選んだのでしょうか。
大学では農芸化学を専攻していました。当時は、ライフサイエンスやバイオインダストリーが注目されていました。この会社ならば、新しい科学や技術に触れて、研究ができておもしろそうと興味を持ちました。
―入社当初は、坂戸に勤務されていたそうですね。
坂戸の工場の一角にある研究所への配属でした。ですので、坂戸にキャンパスのある女子栄養大学には親しみを感じています。この地は、懐かしくもあり、社会人としての起点となる大切な場所でもあります。
―食品の開発や研究には、どういったおもしろさがあるとお考えですか。
食品そのものにおもしろさを感じています。食品は種類も含まれる成分も様々ですし、食べる人々も様々ですので、工夫できる範囲が広いのが魅力です。また、おいしかった、おいしくなかった、どういう味がしたなど、消費者の反応がすぐみえるおもしろさもあります。また、食べた直後だけではなく、栄養状態をよくして健康の維持や改善につなげていくので、時間軸も短期的なところから長期的なところまで様々なスパンで手応えを感じることができます。こうした手応えが感じられる仕事は他に思い当たりません。さらに長い年月をかけて伝承していくことで食文化が形作られていくといったような奥深さもあります。
そして食品開発には、多様な切り口があります。当社の商品でもあるヨーグルトでは腸内細菌があげられます。腸に住む菌の種類によってさまざまな働きがあり、体調や心の状態と密接な関わりを持つこと、それに乳酸菌や乳酸菌の作る物質が寄与することも、最近具体的にわかってきました。食品としての広がりや深みがある上に、科学的な解明が進むほど新たな切り口がうまれてくるので、おもしろさが尽きることはありません。
―これまでのご経験の積み重ねがあるからこそ、おもしろさに気づくことができているのでしょうか。
職務による自身の経験だけではないように思います。お客様からいただくご意見も経験を深めてくれます。ポジティブなご意見は率直に嬉しいですし、厳しいご意見に出あうと自分が知っている食の世界が狭いことへの気づきをいただけます。経験には,お客様や周囲から刺激を受け、知らず知らずのうちに培われてきた部分もあるように思います。
―組織のなかでの管理職ポストへの向き合い方について、教えていただけますか。
明治では、管理職ではなく、経営職という言葉を使っています。管理職という言葉には管理する側、される側のイメージがありますが、経営職ですと経営に一歩近づくと受け止めることができます。研究所の将来や会社の将来を考え、自ら関わっていくことになりますので、目線をあげて多角的にとらえることが必要になります。こうした意識は、本来全員に必要なことですが、私にとって経営職になることは、そのきっかけを得ることになりました。大事なのは、仕事や部下を管理するというのではなく、経営に関わるという向き合い方だと捉えています。
―これからの人たちはそうしたポストを目指していくことになりますが、そのポストを経験したからこそ、わかったことがありますか。
自分自身、担当者だった時は、常に最良を目指していました。そうすると、上司との考えの違いが生じることもありました。今思うと、上司は最悪のケースに備えた判断をしていたのだと思います。今は、最良を目指しながら、最悪のケースに備える、全体のバランスがとれるよう個々の折り合いをつけることにも配慮しています。今になってみて、その当時の上司がなぜそういう判断をしたのか、その意味を理解できることもあります。部下の成長のためにあえてもう少し時間をかけるという判断も、このポジションになってみてわかったことです。
経営職をめざして、課長になったらこうしようと考えるより、「いつでも課長になれます」と準備しておくことも大切だと思います。
―社内で初めての女性の執行役員と伺っています。日本の社会ではまだまだ女性の登用が進んでいない状況もあるかと思いますが、いかがでしょうか。
20~30代の頃を振り返ると、実は昇格はそれほど早くなかったように思います。もっと責任のある仕事をしたいという気持ちもありました。ただその後、自分なりに仕事をまわせるようになると、女性だからということは一向に気にならなくなりました。執行役員になり初めての女性ということで、逆に改めて女性であることを意識するようになりました。企業においても多様性が求められる時代となり、多様な人材を登用しようとする考え方が広がってきています。
執行役員となったことで、社外で同様の立場にある女性たちとの横のネットワークが増えてきました。そうしたネットワークを通して成長させてもらっていることもたくさんあり、感謝しています。
―社内での経営職で女性は増えてきていますか。また、妊娠、出産、育児といったライフイベントへの対応に変化はありますか。
社内全体の意識が変わってきていると感じますし、実際に経営職に就く女性も増えています。また、そうしたライフイベントをサポートするための福利厚生も充実し、以前に比べると手厚くなってきています。育児休暇を長期に取得する男性も増えてきました。女性だけに負担がかからない社会にすべきですし、制度だけではなく意識や行動も変わっていくべきだと思います。
―今、考えている社会課題はありますか。その解決にどのように取り組んでいますか。
食の仕事に携わり、栄養に長年関わってきていますので、今の日本における栄養不良、特に低栄養の方々の存在を重く受け止めています。日本では様々な場所で様々な食品が売られていますし、情報もたくさんあるのに、未だに高齢者や若い女性で低栄養の問題がみられます。肥満など過剰栄養の問題も疾病との関わりで重要ですが、そのことへの警鐘を鳴らしすぎることで、低栄養を生み出すことのないようにとも思っています。 こうした低栄養や過剰栄養の問題に対応するために、弊社では独自に栄養プロファイリングシステム1)を開発しました。食品に含まれる栄養素の量などを科学的な根拠に基づき分析・整理することで、それぞれの食品の栄養価値を評価することができます。この仕組みで栄養価値の高い評価を得られる食品が企画・販売されるようになると、良質の食品が日本の市場に出回ることになります。また、食品とともに情報も提供することで、健康のためになにを選択し食べればよいかがわかりやすくなります。
●注釈
1) 栄養プロファイリングシステム(Nutrient profiling system): 消費者が食品の栄養価を総合的に判断できるよう,公衆衛生政策上重要となる栄養素等の含有量で食品を評価する仕組みのこと。国際的には,この仕組みに基づき,信号マークのようなわかりやすい食品表示が行われるようになってきた。
―国際的な動向では、サステナビリティの観点から企業の栄養に関する取組みも変わっていくように思いますが、いかがでしょうか。
新しい価値観や概念が企業に浸透し、変化していくには時間が必要です。だからこそ、方向性を共有し、そこに近づくよう、継続して取り組むことが大切だと考えています。SDGsの推進をみても、今では小学生が当たり前に学校で学ぶようになり、ここ数年で大きく変わりました。 今年10月に、SDGsを推進する国際NGOのWorld Benchmarking Alliance(WBA)が、農業・食料サプライチェーン分野の世界の主要企業350社のサステナビリティを評価するランキング「食料・農業ベンチマーク(Food and Agriculture Benchmark)」の2023年版を公表しましたが、評価の4つの観点には、環境とともに栄養も位置付けられています。総合順位でみたとき日本企業では味の素が最も高い16位、明治はそれに続く2番目の37位でしたが、この2社は栄養での貢献が評価されていました。栄養からサステナビリティに貢献していくことも、これからの社会に求められる重要な要素となります。
―栄養学、そして本学への期待について、お聞かせいただけますでしょうか。
食品の種類や成分も様々、人間の健康状態や食べ方も様々で、食事は毎日のことですから、栄養学はまさに実学です。このため、女子栄養大学や、管理栄養士・栄養士の方々に期待することは大きいです。栄養学には、鳥の眼、虫の眼、魚の眼のいずれの見方も必要になります。鳥の眼では俯瞰的に社会全体を見据えた健康、食料のあり方について、虫の眼はまさに目の前の日常、今日のごはんのこと、魚の眼は社会や人がどう変化していくのか、将来に向けて流れを読むといったこと。当社にも女子栄養大学の卒業生がいますが、女子栄養大学ではこうしたモノの見方や考え方を身に付けて、社会に出ているように思います。デジタルの進化などにより、管理栄養士や栄養士の皆さんの栄養業務もこれから大きく変わっていくことになりますが、やり方が変わっても、基本的な考え方は変わりません。基本的な考え方が身に付いていれば、状況が変化する中で生まれてくる新たな仕事にも対応できます。ですから、そうした考え方、多角的な見方が身に付いた人材の養成が大切です。そして、そうしたモノの見方を周辺に拡大していくことも大切です。栄養学だから、女子栄養大学だからできることだと期待しています。
〈河端 恵子さんのご経歴〉
東京大学農学部農芸化学科を卒業し、明治製菓株式会社入社。入社後、主に栄養食品、美容・健康食品の研究開発業務に従事。2018年株式会社明治研究本部技術研究所栄養研究部長などを経て2022年4月より現職。
東京大学農学部農芸化学科を卒業し、明治製菓株式会社入社。入社後、主に栄養食品、美容・健康食品の研究開発業務に従事。2018年株式会社明治研究本部技術研究所栄養研究部長などを経て2022年4月より現職。
この方に聴く 栄養学でイノベーションを起こす<第1回>
この方に聴く 栄養学でイノベーションを起こす<第2回>
この方に聴く 栄養学でイノベーションを起こす<第3回>
この方に聴く 栄養学でイノベーションを起こす<第4回>
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