
栄養イノベーション専攻
生物分析検査学研究室
末吉 茂雄 教授
あなたの血液検査の値は大丈夫?
健康診断で血液検査の結果を見たことがありますか。結果のとなりに、「H」や「L」といった印が付くことがあります。この印、健康な人の95%の範囲(基準範囲)から外れたもので、実は健康であっても5%は外れてしまうのです。
それでは、健康であればどんな人でも基準範囲は同じになるのでしょうか?私たちは健康なアジア地域の人々の血液検査の結果を比べてみることにしました。その結果から、CRPという血液成分が、赤道に近い国ほど高値となることがわかりました(図)。CRPは、感染性病原体(細菌やウイルスなど)が体の中に侵入しようとすると、からだの中で排除しようと働く炎症性反応の指標で、日本に比べ暑い地域ほど感染性病原体への暴露が多くなることが考えられました。
血液検査の結果は、性別、年齢などでも変化し、まだ変化するかわからないこともたくさんあります。こうした変化の要因を研究することが、病気による異常を的確に判断することにつながります。

図.CRPにおける測定値の地域差
測定値を14地域に分割し、上から日本の7地域、ソウル、北京、ホーチミン、クアラルンプール、ジャカルタの男性、女性である
kiyoshi I, et al. Clinical chemistry and laboratory 53:1429-1442,2013を改変
先生からヒトコト

▲末吉 茂雄 先生
健康を知ることが、病気の発見につながります。栄養学と臨床検査学を知ることで、健康とは何か考えてみませんか?