JOURNAL KAGAWA ヨクシル
喫食者に寄り添う「給食経営管理」

学びと教育

【実践栄養学科】栄養学を学んでフードサービスの運営・経営で活躍する管理栄養士になる

喫食者に寄り添う「給食経営管理」

「給食」というと何を思い浮かべますか。小学校・中学校での学校給食を想像する人が多いと思いますが、社員食堂で従業員に提供する食事、病院で入院患者に提供する食事など、特定の人に継続して提供する食事を「給食」といいます。安全でおいしい給食を適切な設備と人員、経費で、人々の心身を健康にするために継続して提供する。それを実践するために必要な学問が、給食経営管理です。

安全でおいしい食事で人々の心身の健康を支援するために必要な学問

 給食は、保育園、学校、企業、といった施設で、給食を利用する人々の健康を維持・増進することを目的に提供します。喫食者にとって、バランスのよい食事を毎食準備することは大変なことですが、1日1回でも給食を食べると、1日全体の栄養バランスがよくなります。そして給食は日々の食事作りのモデルにもなります。食べる体験を通して、学習もできる、給食は生きた教材ともいわれます。

 そのためには「おいしく」「安全」に食べられる食事を計画して、実際に調理し提供することになりますが、これは意外に難しいことです。そして、提供数が多いことも特徴です。例えば学校給食の共同調理場なら6,000食、社員食堂なら500食といった規模です。また、病院の場合は、入院患者の病態に応じて複数の種類の治療食を提供することになります。

 給食を提供するために必要な調理員も食数に応じて多数になります。調理機器も家庭とは異なり、1回で大量の調理ができる大型機器を使います。扱う食材料の種類も量も多く、扱う金額も大きくなります。給食を安全でおいしく適切に提供するために必要な学びが「給食経営管理」です。

給食経営管理は様々な学びを統合しながら学ぶ

多数の人の食事提供をするために必要な知識や技術を総合化して学ぶとともに、給食を適切に運営するために必要な経営管理について学びます。

食品学、調理学、食品衛生学から、大量調理へ展開する学び。栄養・食事管理論、ライフステージ栄養学、臨床栄養管理論から、喫食者の栄養管理を目的に運営するための学び。

資源(人、モノ、お金、設備、方法)を活用して、効率的に経営するための学び。そして

喫食者の満足度を指標に給食の品質を高めるための学び。これらを統合しながら学びます。

チームワークが重要な給食管理実習

▲管理栄養士担当、調理員担当、記録員担当のチームワークが大切です。

▲管理栄養士担当、調理員担当、記録員担当のチームワークが大切です。

2年生の給食管理実習は他の実習と違って、事前の計画段階から、一人一人が明確な役割を担います。管理栄養士の役割約13人、調理員の役割約13人で、決められた時間までに120食を作り、120人の人にサービスします。学生一人一人は同時に違った作業を行い、それぞれの作業を連動させながら進め、料理を仕上げ、それらを盛り付けて配膳することで、ようやく1食の食事が整います。どこかの作業が少しでも遅れると、玉突きにその先の別の人の作業が遅れてしまいます。

パズルを組み立てるように、調理作業を組み立てていきます。

お互いの作業を理解し、協力したり調整したりするには、常に相手を思いやることが必要です。また食べる人、一人一人の満足する笑顔を想像しながら、作業を行っていくことが大事です。

PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act cycle)を実体験する給食経営管理実習

▲オープンキャンパスで来校した高校生の皆さんに2種類の選択食を用意して提供しました

▲オープンキャンパスで来校した高校生の皆さんに2種類の選択食を用意して提供しました

3年生の給食経営管理実習では、2年生で行った献立に選択食を加えた160食を、2年生の実習の時の半分の人数の13人で提供します。そして4年生のプロフェッショナル科目群のフードサービスマネジメント実習(選択科目)では、10人前後の学生で、2献立の選択食200食をオープンキャンパスに来場した高校生に提供します。

食数も段階的に増え、提供する食事内容の目標も高くなっていきます。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)のサイクルで、前の実習の反省点、改善点を活かしながら徐々にスキルアップしていきます。

栄養学を学んでフードサービスで活躍する管理栄養士になる。

実践栄養学科では、毎年200名を超える管理栄養士を社会に送り出しています。2024年3月に実施された管理栄養士国家試験の合格者数は221名で、12年連続、全国第1位。合格率も97.4%と高い値になっています(新卒のみの全国平均80.4%)。

 

1学年200名を超える学生は実に多彩です。グループディスカッションやケーススタディなど、少人数に分かれて取り組む演習・実習も豊富です。

 

栄養学を学び、フードサービスの運営・経営で活躍する管理栄養士を目指す人たちも、それぞれの個性を認め合い、学び合うなかで、多彩な管理栄養士へと成長していきます。

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