白井 里佳子さん Shirai Rikako
ホンモノに触れることで
生徒たちは生活に実感が
持てるようになります。
埼玉県立川口高等学校
教頭
白井 里佳子さん Shirai Rikako
1991年
香川栄養専門学校
調理師科卒業
1994年
女子栄養大学
栄養学部二部(教職課程)卒業
1999年、家庭科教諭として埼玉県立越谷総合技術高等学校(食物調理科:家庭科教諭)に配属。その後埼玉県立川口東高等学校等で勤務した後、2013年、埼玉県立総合教育センターに異動となり、指導主事兼所員として、小中高等学校の家庭科・高等学校の福祉科に関する研修を主に担当。2018年、埼玉県立特別支援学校大宮ろう学園に教頭として赴任し、2021年4月より、現職。
各教科と実生活を家庭科でつなぐ
家庭科は、実生活に直結している教科です。社会科で物価など経済状況を学んだり、理科で有機物の燃焼を学んだり、各教科で学んだ知識をつなげて、食品の選択や食べることを通して、自分の生活で実感できるようにしていくのが、家庭科です。卵2個約100gといっても、それだけでは文字の情報で、重いのか、軽いのか、実際に手にして初めてその感覚がわかるのです。作って食べみて、美味しかったかどうかがわかるのです。以前、調理実習でボロネーゼを作った時、普段レトルトや外食で食べることが多い生徒たちは、“身近な材料でこんなにおいしく作れるんだ”、“お店のような味に仕上がるんだ”と、実際に作って食べてみることで、その味に感動していました。ホンモノに触れることができるのは家庭科の一番の魅力です。自身の感覚を使う”実習”を大切にしています。
女子栄養大学だから、ホンモノの学びで、成長できた
大学時代は、2020年度をもって閉幕をした学部二部(夜間)で学びました。周りは、看護師など昼間は専門職として働きながら栄養学を学びたくて真剣に学ぶ人たちばかりでしたから、質問も高度で、当時の私には言葉の意味すらつかめないこともありました。しかし、今振り返るととても刺激的な毎日でした。      
アルバイト先で「栄養大学」という大学名を見ると決まって“料理もできるんでしょう”と言われるので、大学2年生の時に、思い切って、学園内にある調理の専門学校に1年間通いました。この経験は、県に採用されて初めての赴任先が調理師養成施設のある高校でしたので、大変役に立ちました。教員となってからも学び続け、調理の経験も増やすことで、確かな知識と技術の基礎を生徒たちに身に付けさせることができました。
ポストが変わることで、「つなぐ」ことも深化していく
県立総合教育センターでは、教職員の学びの拠点として、家庭科教員の研修に関りました。研修を通して、家庭科教員の方々をつなぐ役割がありました。家庭科教員は1名配置も多いので、資質向上を図る上で研修は貴重な機会になっています。現場に戻ってから研修で学んだことを授業で実践してみて、失敗したことやうまくいったことなど、その結果を報告してくれるのは、嬉しいことでした。
特別支援学校で初めて教頭職に就き、今年4月に現在の高校に赴任しました。教頭になってからは、教職員同士をつなぎ、学校と地域をつなぐ役割を担っています。普段から情報を収集し、情報を適切につなぐことで、新たな協働が生まれ、うまくいくこともあります。学校全体で、協力して取り組むことで、生徒たちのためにできることは広がっていきます。