- EIDAI卒業生の姿
高橋 澄子さん Takahashi Sumiko
おいしく・大好きな給食の実践が、食を楽しめる人を育てます。
所沢市立第1学校給食センター 栄養教諭 | |
1995年 | 女子栄養大学 栄養学部栄養学科実践栄養学専攻卒業 |
2017年 | 女子栄養大学大学院 栄養学研究科 栄養学専攻修士課程修了 |
1995年に埼玉県学校栄養職員採用。入間市で単独調理校3校と入間市立学校給食センターの勤務を経て、2011年、栄養教諭に採用され、所沢市に異動。和田小学校に勤務ののち、2017年女子栄養大学大学院修士課程に進学。大学院修了後、所沢市立第1学校給食センターに配属され、現在、3年目。15校分8,000食の給食運営のマネジメントを行いながら、各学校に出向き、食育授業への参画、給食指導を行っている。
学校給食は、子どもの成長の要であり、食育実践の要
日々提供される学校給食の栄養管理・衛生管理をしっかり行うことで、成長が著しい時期に必要なエネルギー・栄養素量を確保できます。また、給食で様々な食材や料理を味わうことで、子どもの食の体験も広がっていきます。現在勤務している学校給食センターでは、管理栄養士・栄養士が5名在籍し、小学校9校、中学校6校の約8,000食分の給食を受け持っています。給食の運営全般については、リスクマネジメントはもちろん、食材から職場の雰囲気まで、給食の味や量の安定に影響する様々な状況に気を配ります。定期的に学校に出向き、児童・生徒への給食指導も行います。所沢産の里芋やお茶を使ったメニューの紹介や教材の開発に力を入れています。特別メニューとして地元産の所沢牛が献立に登場する日は、センターの栄養士で協力して食育の教材を作成し、分担して学校を回り食育を実施しました。食育の授業も、子どもが実際に食べて味わう給食と連動させるからこそ、知識の習得だけにとどまらない、地域への愛着や将来の健康につながる実践になるのです。
食育の評価を他人任せで終わらせない。
栄養教諭として成果を見える化する
栄養教諭制度ができて10年が経過した時、国で総務省が行った食育の政策評価は「成果がない」という結果で、ショックを受けました。また、その評価指標に現場との大きなずれを感じました。これまでの実践を自己満足で終わらせてはいけない、現場の成果を多くの人に見せていきたいと考え、大学院への進学を決めました。専門職人生の折り返し点として、これまでを整理し、これからの方向性を見出すために学び直したいとの思いもありました。親に学費を出してもらっていた学部とは違い、自分で稼いだお金で学費を払い、自分が学びたいから学ぶ、大学院の学びは、先生方との議論を通して理解を深めていく学びで、新たな発見がたくさんありました。インドネシアで日本の給食を紹介する機会もいただき、日々の給食の運営は海外に発信する価値があることにも気づきました。食べ残しの少ない給食運営を実現するため、市内の栄養教諭・栄養士たちと所沢市の児童の身長・体重の変化を確認し、食事摂取基準を見直した他、大学院で学んだ統計解析の力を用いて各学校の食べ残しのデータの収集・分析も進めています。
一人一人を大切に、学校全体、地域全体をつなげていきたい
私の給食を食べて、今は立派な成人になった教え子と再会した際、懐かしい給食ネタで盛り上がります。それは最高に楽しく幸せな時間です。小学生から中学生にかけての成長の勢いはすごいです。食の課題は、一人一人の子どもの成長を支える上で重要で、保護者への働きかけや共感も必要になります。食育は、学年ごとに成長に見合った活動ができますし、特別支援学級の子どもたちが実践できることもあります。地元の農家さんとの交流や収穫した食材を子どもたち自身が皮むきをして給食に利用するなど、食育は無限に広がります。子どもも保護者も、学校も地域も、生き生きとした姿で関わり合える社会を作り出していきたいと思います。