EIDAI卒業生の姿

小田 真規子さん Oda Makiko

  1. EIDAI卒業生の姿

小田 真規子さん Oda Makiko

料理の基本を追求し、誰もが作りやすく、おいしい家庭料理を提案し続けます。

料理研究家 ㈱スタジオナッツ 代表取締役
女子栄養短期大学卒業

 

短大卒業後、アシスタントを経て料理研究家として独立。「健康に配慮した、誰もが作りやすく、おいしい家庭料理」をテーマに、雑誌・TV・webなどでオリジナルレシピを紹介。料理の基本などの著書は100冊を超える。1998年にスタジオナッツを設立。代表としてフードディレクターを務め、企業へのメニューアドバイス、レシピ提案のほか、広告・宣伝、販促にむけた料理撮影のフードコーディネートにも数多く携わる。近年、中学生の教科書の執筆も行い、料理を広く、若い人に伝える活動にも取り組んでいる。

料理の基本もレシピも、進化する

肉じゃがやしょうが焼きなど、料理の基本であっても、提案するレシピはその時々で変えています。料理も日々進化しているからです。調理器具の性能、食材の種類、調味料の組み合わせ、作る人の調理技術によっても料理の味わいは違ってきますし、おいしさの感じ方や料理の価値観も人によって違います。そのため、料理を「おいしく作る」には、切り方、焼き方、炒め方などの作り方の工程を、わかりやすく伝え、「ちゃんと作れる」ようにすることが、家庭料理を根付かせるのに役立つことだと思っています。素材の水気のとり方、火加減の仕方、材料を入れるタイミングや味つけの順番など、調理工程のポイントを知らなければ、何によってどこでおいしくなるのかがわかりません。なぜそうするのか、各工程の調理の意味を伝えること、そして、レシピの再現性を高める要点やコツを、興味を促しながら伝えることが、料理研究家の仕事だと考えています。

モノも情報もあふれているのに、
おいしい料理を作れないのはなぜか

今は、モノも情報もあふれています。だからといって、誰もが楽においしく料理を作ることができているでしょうか。却って、ミニマムなモノや情報の中で、どうやって味づくりをするか、限られた条件の中でも考えられることの方が、おもしろいと思っています。そんな私にとっての“オリジナル”は、発想の転換から生まれます。「みんなが楽になる」ことからひらめき、「おいしさ」と「覚えやすさ」を工夫することで、楽に、楽しく作れるような提案へとつなげていきます。

学生時代は「コンセプトを決める」大切さを知り、
「記録する」ことを覚えた

でも、そうした提案に大切なのは、レシピのベースとなるコンセプトを決めること。それが決まれば発想も広がり、もし行き詰まっても、そこに戻ってやり直すことができます。そのことを自覚できたのは、学生時代。そして、コンセプトの元になる食体験も、曖昧な記憶に基づいたものではなく、きちんと記録して蓄積するべきだと思いました。今日何を食べたのか、日々の食事を記録し、具体的に把握できたことが、今の考え方の背骨になってくれた気がします。今、学生の皆さんに伝えたいのは「頭でっかちにならないで」ということ。たくさんの情報に惑わされず、自分にあったものを選び、自分なりの価値観を持ってほしいと思います。自分が好きな味かどうか、それも一つの価値観ですし、そこをベースにすることで、新たな料理への挑戦もできると思います。

料理は、考える・作る・提供することすべてを、相手を思ってするものです。その相手は、子どもや家族、親、社会と、人生のステージによって様々ですが、最後は、“自分のため”に行き着くように思います。料理は、かけがえのない人生をどう大切に生きるかを、考えさせてくれます。