スポーツを専門とする管理栄養士が専従する
唯一の国の機関で働く
国立スポーツ科学センター(JISS)は、日本スポーツ振興センター(JSC)、ハイパフォーマンススポーツセンターの一部であり、文部科学省スポーツ庁の管轄です。「未来を育てよう、スポーツの力で」というコーポレートメッセージを掲げるJSCのもと、JISSは、スポーツ科学・医学・情報など先端的な研究を行い、様々な分野の研究者、医師等の専門家集団が連携しあって我が国の国際競技力向上のための支援に取り組んでいます。私が所属するJISS栄養グループは、スポーツを専門とする管理栄養士が専従する唯一の国の機関で、現在、そのグループリーダーを務めています。所属スタッフの多くが公認スポーツ栄養士(日本スポーツ協会と日本栄養士会の共同認定資格)を取得しています。
スポーツをキーワードに、
栄養学は人々の健康にもっと寄与できる
最近では、東京2020大会に向けた栄養サポート活動をはじめ、大会期間中における日本選手団に対する栄養サポートを行いました。エビデンス(データ)に基づいたサポート活動を基本に、スポーツ栄養に関連する研究にも取り組んでいます。アスリートがパフォーマンスを発揮するためには日々の身体づくり、体調管理が必要で、その鍵となるのが栄養・食事です。アスリートの体は1日でできたわけではなく、パフォーマンス発揮のための体づくりには、幼いころからの食習慣の形成も大事です。スポーツをする子供たちへの食育活動やそのご家族への支援など、スポーツというキーワードで、栄養学は多くの人々の健康に寄与することができる魅力的な学問です。
私の日々の仕事は、グループ全体の業務の運営管理で、個々のメンバーの特性を活かし協力して業務を行える環境づくりも心掛けています。また、外部の様々な分野の研究者や専門家と連携した活動を行う調整役として、栄養分野の専門家の立場から、情報を共有し、意見交換や議論を重ねています。
学生時代に、卒業後専門家として働く、
自らの役割と姿勢を学んだ
在学中に、卒業後は人々の健康の保持増進を栄養・食事面から我々が担っていくべき役割があるという意識を植え付けてもらいました。授業では、様々な分野の先生方から最新の学問やその歴史を学び、先生方ご自身の専門分野との出会いや歩みといった人生哲学を楽しそうに話してくださる姿を通して、栄養学の面白さを感じることもできました。専門科目に留まらず、多岐にわたる学問に触れ、教養を身に付ける時間にも恵まれました。演習や実習とともに学外での活動の機会も多く、そうした中で仲間を大事にし、相手の話に耳を傾け、専門家しての主張を行うことのできる基礎を学んだように思います。今振り返ると、先生方は丁寧に辛抱強く、多くの失敗にも、いつも変わらず、励まし、支えてくださいました。女子栄養大学は、社会に出て栄養の専門家として責任をもって仕事に向き合うことができるよう、そのための学びの環境を多方面から与えてくれたのだと思います。