栄養学専攻 修士課程

在学生×教授 メッセージ

  1. 研究科・専攻
  2. 栄養学専攻 修士課程

在学生×教授 メッセージ

現場での経験を研究に活かし、課題解決を目指す

管理栄養士の資格を活かし
障がい者のための
給食管理・栄養管理について
研究を深めてほしい

石田 裕美教授
給食・栄養管理研究室
研究指導分野/栄養管理学

実際に現場で働く中で
感じた課題を解決すべく、
障がい者施設の給食管理の
業務委託仕様書を研究

関根 拓海
茨城県出身 常磐大学卒業
栄養学専攻 修士課程2年

エビデンスや研究結果を現場で活用する力をつける

関根 管理栄養士として障がい者施設で働き、給食業務に携わる中で、物価上昇や人手不足などの影響から経営側や調理側の都合で価格や効率が優先され、食べる人の視点に立った食事提供が難しくなっていると実感していました。こうした課題を解決する一助となるような研究がしたいと考え、大学院への進学を決意しました。

石田 関根さんはとにかく真面目。課題と真摯に向き合ってコツコツ努力できる方です。コツコツ努力しても状況が変わらない大きな壁にぶつかり、それを打破するための方法として大学院への進学を選んだのでしょうね。

関根 女子栄養大学大学院を選んだのは、給食管理と栄養管理を深く研究されている石田先生の下で学びたいと思ったからです。私は男性で、女子大の大学院へ進学することには勇気が必要でしたが、入学してからは困りごともなく、院生同士で切磋琢磨しながら研究に励んでいます。一歩踏み出して本当によかったです。

石田 関根さんは現在、給食管理業務を委託するときに作成する仕様書について研究していますね。

関根 仕様書や契約書にどのようなことが記載されているのか、記載されたことが遵守されているのかということを研究対象にしています。

石田 以前、業務委託先が倒産し、学校給食がストップしたというニュースがありました。契約通りに運営できなかった業者が悪いという風潮でしたが、条件を提示した側にも責任があるのではないでしょうか。給食の在り方が誤解されてしまうという危機感から社会を変えていかなければと考え、私自身も給食の研究を続けています。

関根 学校給食は入札のための情報として仕様書が公開されていることも多く、石田先生の授業では仕様書の見方を学び、課題発見に取り組みました。その経験を基に、障がい者施設の給食について研究しています。学校に比べ公開されている仕様書が少ないのですが、可能な限り集めて、授業と同様の方法で情報を整理しています。

石田 給食業界をよくしていくためには、委託者と受託者が対等なパートナーシップを結べるような内容を仕様書に盛り込むことが必要だと思います。関根さんの研究による仕様書の見える化がよい影響を与えることを期待します。また、障がい者のための栄養管理についてはあまり研究事例がなく、関根さんの研究を通して新たな課題も見えてきました。関根さんには、管理栄養士として現場で働いたからこそできる研究を続け、障がい者のための栄養マネジメントや給食経営管理のリーダーになってほしいです。

行政栄養士に求められる
専門性と伝える力を
身につけてほしい

林 芙美教授
食生態学研究室
研究指導分野/栄養教育学

専門性やスキルを磨き
地域の健康づくりに
貢献できる行政栄養士に

佐藤 花菜
群馬県出身 女子栄養大学卒業
栄養学専攻 修士課程2年

健康にも地球環境にも配慮した食を広める

佐藤 学部生のときの講義で一次予防に興味を持ち、健康づくりや疾病予防につながる仕事がしたいという思いから行政栄養士を目指すようになりました。高い専門性を身につけながら管理栄養士国家試験受験資格を得るため、大学院の「高度人材養成コース 栄養士実務研修」に進みました。

時間を有効に使い、研究と実務を効率的に両立していますね。

佐藤 実習テーマは「健康的で持続可能な食品選択を促す食環境整備のための実践力の修得」です。大学院進学後の講義で、地域の食環境整備にあたっては、住民の健康づくりに加えて地球環境へ配慮する取り組みを推進することも重要だと学び、本テーマに決定しました。

諸外国と比較しても日本国内ではこうした取り組みが少ないですが、日々の食品選択は私たちの健康と環境負荷に大きく関わっています。温室効果ガスの排出をはじめ、食が地球環境に与える悪い影響を少しでも抑えるためには、食品ロスの削減だけでなく、何をどのように調理して食べるのかということにも気を配る必要があります。

佐藤 現在実務を行っている坂戸カフェテリアでは、健康に配慮した栄養バランスのよい定食メニューなどを提供しています。しかし、地球環境に配慮できているかはわかりません。坂戸カフェテリアのメニューの現状を分析し、分析結果に合わせて健康にも地球環境にも配慮したメニューの提案と情報提供を行おうと考えています。

自身の研究に加え、栄養学専攻の有志で行っている「Healthy & Sustainable Campus プロジェクト」にも参加していますよね。

佐藤 学内の自動販売機での無糖飲料の販売促進や健康と環境にまつわる情報提供など、学生や教職員に対して積極的に働きかけています。情報提供では、健康や環境に関する漫画の制作に関わりました。学内に掲示したほか、SNSでも発信し、より多くの方の目に留まるよう工夫しています。

研究や実践活動を通して専門性を高める姿には期待しています。専門性とともに高めてほしいのは、地域住民や飲食店の方々の心を動かし、行動変容を促す説得力や説明力です。また、食事は何よりおいしいことが大切ですから、そうした食事を提供するスキルも身につけてほしいですね。

佐藤 大学院では、発表の機会や様々な世代・背景を持つ方とのディスカッションの機会に恵まれています。実践を通して伝える力を磨きたいです。人々の暮らしや想いに寄り添い、生き生きとした地域づくりや、おいしく・楽しく食事ができるようなサポートを担える行政栄養士を目指します。