2026.10.19

プレスリリース

[代謝生理学研究室]栗原由紀子教授の論文が国際学術誌に掲載

栗原由紀子教授の論文が医薬品科学分野の国際学術誌「Pharmaceuticals 」に掲載されました。

論文タイトル
【GPCR
における 受容体―Gタンパク質間の相互作用が薬物結合を制御する仕組みを解明―受容体の動的な構造変化に着目した疾患理解と創薬への新たな視点―】

[ポイント]
・体内物質や薬(リガンド)の作用を受け取る「受容体」について、リガンドが結合する細胞外側だけでなく、細胞内側の状態も、リガンドの結合しやすさに影響することを解説しました。
・受容体の細胞内側に生じた遺伝子変異が、離れた位置にある結合部分の性質を変化させ、病気につながる可能性を示しました。
・受容体全体の立体構造や動きを捉えることが、病気の原因解明と、より選択性の高い新しい薬の開発につながる可能性を提案しました。

[概要]
栗原由紀子教授らは、自身の最近の研究成果(J Clin Invest 133:e151536, 2023)をもとに、Gタンパク質共役型受容体に関する最新の研究成果をまとめた総説論文を発表しました。
私たちの体内では、ホルモンや神経伝達物質などの情報が細胞へ伝達されることにより、心拍、血圧、神経活動、代謝などのさまざまな生理機能が調節されています。その最初の情報を受け取るのが「受容体」と呼ばれる分子ですが、その中でも最も種類が多く一般的なのがGタンパク質共役型受容体(G protein-coupled receptors:GPCRs)です。
GPCRは細胞膜上に存在し、細胞外から到達したリガンドを認識することで、細胞内へ情報を伝達します。GPCRは、血圧調節や痛みの感知、気分の調節など、生理機能の調節に広く関与しており、現在使用されている医薬品の約1/3はGPCRを標的としています。
一般的には、リガンドが受容体の細胞外側に結合すると受容体の立体的な形が変わり、その変化が細胞内側へ伝わってGタンパク質を活性化すると説明されます。しかし近年の研究から、受容体の内側で結合するGタンパク質が、逆に受容体の形を変え、リガンドの結合しやすさを調節していることが明らかになってきました。本総説は、この新しい考え方を「受容体・薬・Gタンパク質のアンサンブル」として捉え直し、病気の発症メカニズムや新しい創薬戦略との関係について分かりやすく整理したものです。