栄養と料理デジタルアーカイブスで日本人の健康課題を探る(1)骨の健康「骨粗鬆症の予防」
本学出版部が刊行する雑誌「栄養と料理」は今年で90周年を迎えます。
1935(昭和10)年の創刊号から1998(平成10)年までの雑誌の内容が、図書館の「栄養と料理デジタルアーカイブス」に収録してあり、気になるテーマをキーワード検索することもできます。
今回は、令和に入った現在の健康課題でもある骨の健康「骨粗鬆症の予防」が、昭和の時代にどうとりあげられていたのか、探ってみます。
1987(昭和62)年3月号で健康の最前線として記事が掲載
昭和62年53巻第3号の「健康の最前線」として「骨粗鬆症」の記事があり、その見出しは「骨粗鬆症の予防は20歳代、30歳代からでも早くはない」。高齢化社会に突入し、骨粗鬆症が注目されていることから、どのような病気か、どうしたら予防できるのか、老年病学をご専門とする大学教授からのお話、続いて、東京都老人医療センターの研究検査部検査科長から、加齢による骨カルシウム量の減少など骨の老化のお話とともに、雑誌の読者に実際に骨のカルシウム量測定を行い、その結果の解説も行っていただいています。
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特に女性に多くみられること、閉経期以降に骨カルシウム量が著しく減少することについての説明があり、若いうちにたっぷりカルシウムをためこんでおくことが推奨されています。
この号の特集は「牛乳と卵で始まるナイスデー」
本学は、栄養学を日々の生活でいかす「実践栄養学」を基本としていて、そのことは「栄養と料理」の構成からも読みとれます。この号(53巻第3号)の特集は「牛乳と卵で始まるナイスデー」で、良質のたんぱく質とカルシウム源である牛乳を朝にとるためのとり方をバラエティー豊かに紹介しています。

▲53巻第3号の雑誌の表紙と特集記事
その後、カルシウムの摂取量は増加したのか
その後、現在に至るまで、カルシウムの摂取量はどう変化したのでしょうか。下の図のとおり、カルシウムの摂取量は、依然として増加がみられない状況です。

しかも、カルシウム摂取量を年齢階級別にみてみると、学校給食での牛乳の飲用がなくなる15~19歳代で急激に少なくなり、20~50歳代まで400mg台で、若いうちから十分な摂取ができていません。
骨の健康のためには600~800mg程度の摂取が望まれるので、摂取量をもっと増やす必要があります。

令和7年6月号の「栄養と料理」の特集は「カルシウムとビタミンD」
「栄養と料理」の最新号では、骨の健康づくりに欠かせないカルシウムとビタミンDについて、役割や足りない理由の解説とともに、それらを多く含み日常的な食事でとりやすい食材の紹介、1日分の献立、小・中学生から高齢者まで世代別家族のお悩み解決レシピを掲載しています。

▲令和7年6月号の表紙
昭和の時代を栄養と料理デジタルアーカイブスで、令和の時代を雑誌(紙媒体やデジタル版)で学ぶ
日本には、専門家のアドバイス(科学的な知見)をもとに工夫しながら、日々の食事をより良い内容にしてきたという栄養改善の歩みがあります。
目的をもって過去の出来事を知ることは、これからの取組みのヒントになります。
昭和の時代に、食と健康にどう取り組んだのか、リサーチしたい時は、「栄養と料理デジタルアーカイブス」を活用してみてください。
月刊「栄養と料理」は、令和の時代も、食と健康の課題に役立つ情報を発信しています。スマホやパソコンでも読める「デジタル版」も2015年5月号から開始しています。毎月のテーマは、私たちにとって大切な健康課題ですので、毎日の食事の実践に役立ちます。
「栄養と料理」の次号(7月号)の特集は「ダイエット」。ずっと健康でいられるダイエットの戦略をお教えします。ぜひ、お楽しみに!
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