栄養イノベーション専攻
分子栄養学研究室
福島亜紀子 教授
遺伝子組換え技術を用いてカルシウム吸収促進機構を研究する
日本人の食事で不足しがちなミネラルの一つにカルシウムがあります。十分なカルシウム摂取量は骨量の維持に必要で、骨量の低下は骨粗鬆症の発症につながります。毎日の食事から十分なカルシウムを摂取することが理想ですが、腸管におけるカルシウム吸収を上げるような食品を同時に摂取することも見かけ上のカルシウム摂取量を上げることになります。
それでは、どのような分子機構でカルシウム吸収率が上がるのでしょうか?腸管の細胞がカルシウムを細胞内に取り込むには輸送体タンパク質(TRPV6)、細胞から血液に渡すためにも輸送体タンパク質(PMCA1)が関わります。また、カルシウムイオンは細胞内では生物活性を有するためカルシウム結合タンパク質(CaBP)と結合して運ぶ必要があります。生きているヒトの腸管の細胞を調べるのは難しいので、ヒトの体の外に出しても無限に増殖可能な培養細胞を使って、遺伝子の転写量の変化を調べます。さらに、遺伝子組換え技術を使うとそれぞれの遺伝子のどこの配列が遺伝子発現に関わっているか検索することが可能になります。
先生からヒトコト
遺伝子組換え技術を駆使して、ヒトの遺伝子発現調節機構を研究してみませんか?