第12回香川芳子学術奨励賞授賞式、受賞講演会開催

2025.11.11

学園

第12回香川芳子学術奨励賞授賞式、受賞講演会開催

第12回香川芳子学術奨励賞授賞式と記念講演が令和7年10月25日に坂戸校舎で執り行われました。

受賞講演タイトル:『臨床検査技師の私が見つけた“ケアの隙間” 〜チーム医療で築いた排便と栄養サポート〜

佐野由実さんは栄養学部保健栄養学科を2000年度にご卒業後、特定医療法人財団松圓会 東葛クリニック病院にご入職されました。検査業務に真摯に取り組み、特に生理検査で、技術のみならず、解剖や病態を熟知することを求められる超音波検査を担う立場となられました。また、チーム医療ではNSTや褥瘡対策チームに関わってこられ、さらには、褥瘡エコーから直腸観察のための経臀裂アプローチ走査法を考案され、新たに排便サポートチームを発足させました。その検査法を纏め、2021年5月に一般社団法人超音波検査学会から、タイトル:超音波検査による便性状評価の検討 —経臀裂アプローチ走査法における下部直腸評価の有用性として、優秀論文賞を受賞され、近年には英文で投稿、またセミナーや研修会など多方面にご活躍中です。ご講演では、学生時代の思い出から、臨床検査技師としての半生をお伺いしました。

高齢者や長く寝付く病者に多い褥瘡は、頻回の下痢から肛門周囲が爛れ悪化することがあるため、未然防止、早期の発見・治療は必須です。一般的に超音波領域において敬遠されがちな直腸の部位を、経腹操作でなく、臀部つまり肛門からの操作を考案したことによって、膀胱条件に関わらず、また、透析患者のように膀胱内が乏尿でガスが多くても対応できる訳です。検査の実証は便のエコー像と便性状の観察を重ねられ、加えて看護師たちの経験や意見を併せてのチーム医療を通しての賜物です。佐野様のように、便エコーに関わる技師は稀有で、貴重な卒業生の一人です。

また、2024年第6回日本在宅医療連合学会(幕張)にて臨床検査技師の新しい活躍として企画したシンポジウムに、シンポジストとしてお招きし登壇していただきました。在宅医療関係者から興味が示され、質問も出たことからも、期待されるべき検査法であることを実感した次第です。

今は、ポケットサイズの装置が非常に優れ、検査技師もみならず、医師・看護師放射線技師も理学療養士も整体士でも、手軽に観察することもできる時代です。ただ、この直腸領域は患者の心理面のサポートも重要で、接遇も身に着けて、安心安全に検査が滞りなくできるようにすることも大切です。

2024年に開講した3年次の医療コミュニケーション実習では、ケアへの取り組み、傾聴やアイコンタクト、頷きも含めたコミュニケーション能力、多職種連携を学び、そして在宅医療・訪問同行を体験型学習で取り入れ、臨床検査技師の展望、可能性を拡げるよう取り組んでいます。よって、このように臨床での経験談やご活躍される姿を知ることは大変貴重な時間となります。学生たちには、目指す道が広がり、やる気、そして継続する力、学びの強さを感じたのではないでしょうか。

本校の伝統は、栄養学の身に付け、実践し、そして栄養士資格をもった強みを存分に活かせることにあり、今後も受け継がれていきます。本学卒業の臨床検査技師の活躍の可能性は無限大です。検査技師課程の歴史に一人一人が刻まれていくことに喜びを感じます。

香川芳子学術奨励賞

本賞は、学園創立80周年記念事業として創始されました。検査技師課程卒業生の中から、栄養学領域、または臨床検査学領域において優れた研究を行っている者、あるいは当該領域業務の発展に貢献した者を表彰し奨励します。検査技師課程同窓会「若葉会」総会において授与され、受賞対象の研究や評価された内容についての記念講演を行っていただきます。2020年度は新型コロナ感染拡大により1回見送りましたが、今年で第12回となりました。式典を見守り、講演を聴講するのは、臨床検査学を学ぶ在学生で、他に、講演者の同期や同窓生、職場の上司や仲間などもお祝いに駆けつけられることもあります。今年は栄養科学専攻臨床検査学コース2年3年4年と新入の栄養イノベーション専攻臨床検査学領域を希望する学生でした。

応募方法は本学ホームページに掲載され、自薦、または推薦された応募者の中から、検査技師課程委員会において選考されます。是非、あらゆる方面でご活躍されている皆様のご状況を後輩達、母校にお知らせください。多数の応募をお待ちしております。