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【国際交流】JICA母子栄養改善研修生への研修を実施
学園

【国際交流】JICA母子栄養改善研修生への研修を実施

2023.11.28
▲(上写真)10か国のJICA研修生の皆さん。中央、スクリーンに映っているのが本田佳子教授

女子栄養大学国際交流センターでは2017年度より独立行政法人国際協力機構(以下、JICA)が実施する課題別研修「母子栄養改善」コースの受入をおこなっています。

このコースは国際的行動枠組みである「栄養改善拡充イニシアティブ-Scaling Up Nutrition (SUN)」の参加国の母子保健、地域保健、栄養改善に関わるアジア・アフリカ諸国の中央政府及び地方自治体の行政官を日本に招聘し、母子栄養改善強化を行うことを目的としています。本年も昨年度に引き続き、オンラインにて実施し、アンゴラ、エクアドル、ガーナ、ラオス、マダガスカル、パキスタン等10か国11名の研修生が参加しました。

本年度、本学に依頼されたテーマは「思春期・青年期の栄養教育プログラム」について。本学の臨床栄養学の教員であり、医療領域での専門・実務家でもある本田佳子教授(医療栄養学研究室)がご自身の実務経験に基づき、途上国で特に課題のある思春期女性の貧血改善などの取り組みについてお話ししました。

前半の講義では、日本の思春期・青年期における課題として「ヤセ」の問題が大きい事、また貧血はヤセや低栄養から始まることが多いことを言及くださいました。また貧血の症状の特徴や、貧血を予防するために重要な「鉄」について、摂取だけではなくその吸収のメカニズムをいかに理解することが重要であることを強調し、解説しました。

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▲鉄が体内で吸収されるメカニズムについて、分かりやすく図解で説明

ガーナの保健サービス局、栄養部門家庭保健課で勤務している研修生から、日本は貧血の軽度の定義がヘモグロビン9-12gと決まっているが、その定義がガーナでははっきりと決まっていないこと、また貧血防止のために、学校等で鉄タブレットの配布があるが、タブレットを飲ませることだけに注力しており、それがどう吸収されているかまでは考えていなかったとの発言がありました。

また、後半の講義では、実際に栄養教育プログラムを作成していく上で重要な行動変容のステージモデルやそれを促す手法の一つであるピア・エデュケーションについて、具体的な例を用いながらの解説を行いました。

シエラレオネの研修生からは、
「日本のように、ピア・エデュケーションを学校で実施することはとても効果的であると思うが、シエラレオネでは実際、学校に通っていない学生も多い。学校に通っていない、思春期・青年期の子どもにはどのようにアクセスしたら良いのか?」

パキスタンの研修生からは、
「学校に通えない人にもリーチしたい。学校には通えていないが、同じ低栄養という問題を抱えていて、そこから脱出した人が話をするのが良い。そういう人に学校でも講師になってもらいたい」

などと、開発途上国特有の問題に絡めて、色々な意見が出ました。

最後に本田先生から、
「日本でも、貧血・低栄養の子どもは頭痛や倦怠感・不定愁訴などの症状から学校に行けていない子どもが意外に多い。途上国と先進国と国々により環境は違っても、抱えている問題は類似している。同じ問題を抱えていた人の成功体験を伝えることがピア・エデュケーションの本質。実行支援や環境サポートはもちろん大切だが、課題を解決しようとする本人のモチベーションが一番重要」との説明がありました。

今回、この研修に参加した11名の研修生は今後帰国前に、日本で学んだ知識を使い、自分達の国で今後実施する、栄養改善のアクションプランを作成します。女子栄養大学での学びも、世界10か国の保健センターや栄養政策に活かされ、実践されていくことになります。

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