Javascriptの設定を有効にしてください。お使いのブラウザはJavaScriptをサポートしていないか、JavaScriptの設定が無効になっています。このサイトでは、JavaScriptを使用しています。すべての機能をご利用希望の方は、JavaScriptを有効にしてください。

NEWS AND EVENTS

女子栄養大学のいま
暑い夏!食中毒に気を付けて たのしい食事を
学園

暑い夏!食中毒に気を付けて たのしい食事を

2023.07.03
気温が一気に上昇するこの時期は、細菌にとって絶好の増殖環境となるため細菌性の食中毒が増加します。
楽しく安全な食事を楽しむために、食品の衛生的な取り扱いについて、栄養と料理講座 機関紙「たのしい食事(3月号)」の平井昭彦教授の記事よりご紹介いたします。

食中毒の概要
食中毒は、病因物質、発症機序などにより分類されます。微生物によるものは細菌性とウイルス性に分類され、細菌性は感染型と毒素型に分けられます。細菌性食中毒の感染型とは、生きた細菌が腸管に達して増殖し腸管細胞に障害を与えることにより症状が現れるタイプの食中毒です。これに対し、細菌性食中毒の毒素型は食品中で細菌が増殖する際に毒素を産生し、この毒素を摂取することで食中毒が発生します。

食中毒に罹らないために
それでは食中毒を起こさないためにはどのような対策を取ればよいでしょうか。食中毒発生件数をみると、微生物と寄生虫による事件で90%を占めています。これらの食中毒予防には、「つけない」「ふやさない」「やっつける」という3原則があります。
つけない 630
食材はいろいろな微生物に汚染されています。その中には食中毒の病因物質も含まれています。そこで食材同士が直接触れ合わないよう、タッパーやラップなどを用いて個別に扱い、他の食材へ微生物を「つけない」工夫をします。
食材・食品を保存する際は微生物を「ふやさない」よう冷蔵あるいは冷凍します。寄生虫のアニサキスも― 20℃で24時間以上冷凍すると感染性を失います。またなるべく早く消費し、長期間保存しないことも重要です。
微生物も寄生虫も加熱には弱いものが多く調理時に十分加熱する(「やっつける」)ことは効果があります。通常の細菌、寄生虫は75℃以上の加熱で死滅しますが、高温に強い微生物もいますので注意しましょう。ノロウイルスは85~ 90℃で90秒以上の加熱が必要ですし、セレウス菌・ウエルシュ菌などの芽胞を作る菌は100℃の加熱でも生存します。さらに、毒素型食中毒の毒素である黄色ブドウ球菌エンテロトキシンとセレウス菌セレウリドも加熱に耐性を示します。これら加熱に耐性を示すタイプには、食品中での増殖を防ぐ「ふやさない」対策が重要となります。
また食品衛生の基本は正しい手洗いです。近頃は新型コロナウイルス対策もあり、正しい手洗い方法が普及してきました。食中毒対策としても大変重要ですので皆さんも実行しましょう。ただ新型コロナウイルス対策時と食品衛生では若干異なる点があります。一つは石けんでの手洗いを2回繰り返すことです。新型コロナウイルス対策では、石けんを使った1回の手洗いでウイルスを不活化することが出来ますが、食品衛生に関わる微生物の場合は1回の手洗いだけでは十分に落としきれません。同じ操作を2回繰り返してください。手洗い後、消毒薬で消毒することもお勧めです。注意点として、手洗いをせず消毒薬だけで消毒することはバツです。ノロウイルスはアルコール消毒だけでは不活化しづらいため、必ず石けんでの手洗いを行ってください。二つめは手洗いのタイミングです。調理前は当然ですが、調理中も生の食材を扱った後など適切なタイミングで手洗いを行ってください。

おわりに
食中毒に罹らないようにするためには、病因物質の特徴をよく理解し、適切な予防対策を実施することが重要です。基本的な対策は上に述べてきましたが、食品の温度管理、取り扱う前の手洗い・消毒と、中心部までの十分な加熱、そして調理後すぐに喫食すること、などになります。
これから心浮き立つ季節の到来かと思いますので、皆様も本稿を参考に食中毒に罹らないようにお気をつけください。

女子栄養大学短期大学部
食品衛生学研究室
教授 平井 昭彦

■詳しい内容はこちら
・栄養と料理講座 機関紙「たのしい食事(3月号)」女子栄養大学生涯学習センター発行
・女子栄養大学生涯学習センター社会通信教育 栄養と料理講座はこちら>>>



新着記事 NEW!