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女子栄養大学のいま
【学園フォーカス】モノづくり 人を育てること
学園

【学園フォーカス】モノづくり 人を育てること

2022.11.23
菓子工房プランタン 
責任者 川内 唯之(かわうち ただゆき) 
(香川調理製菓専門学校 製菓科 助教授) 
[学園フォーカス07 Nov.2022] 

■食事に潤いを、生活に憩いを。今に引き継がれるプランタンの思い
菓子工房プランタンは、女子栄養大学短期大学部と香川調理製菓専門学校のある駒込キャンパス内の小さなパティスリーです。

プランタンの生い立ちは駒込校舎2号館の建物が竣工した昭和31(1956)年で創業66年。当時、近代設備を誇ったキャフェテリアの付属として併設され、場所は現在の工房のある地階で専門学校の実習室も兼ねていました。当時としてはめずらしい本格味の洋菓子と無漂白パンを作って、献立を潤し、「菓子も食事の一環として考えなければいけない。また菓子は生活に憩いを与える重要な役割を持つ」が発足理由であったそうです。これは今日では当たりまえの考え方ですが、当時世間には敗戦の傷跡もあり、こうした理想をもって運営、維持していくにはまだまだ難しい時代でした。プランタンという名前は、雑草のようにたくましく生き伸びるようにと、オオバコの意味を持つフランス語から名付けられました。

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▲ウェブサイトや包装紙などで目にするプランタンの愛らしいキャラクターの作者は、イラストレーターの大橋正氏で、昭和34年に製作。

現在は「毎日のくらしに安心のおいしさを」お届けしたいと心を込めて、ケーキ、パン、焼き菓子などの製造・販売を行っています。旬の素材を使ったケーキやパンが、10時の開店とともに店頭に並びます。プランタンのお菓子は、原材料の素材を生かしたシンプルな味わいです。また歴史のある配合のお菓子だけではなく、常に商品開発の手を緩めることなく、ジャパンケーキショー受賞作品をはじめ、季節感を大切にした新商品を月毎に変更して販売しています。

■プランタンの実習で、華やかさの裏にある厳しさも学ぶ
付置教育施設としてプランタン実習では、生徒が製品の企画・製造・販売までの店舗経営の流れを学び、実践力を磨きます。一般のお客様が来店される臨場感のある現場実習で、店舗運営スタッフと一緒に働きながら、器具などの使い方や実際の仕事の流れを学びます。

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▲プランタンでの臨時実習の様子

香川調理製菓専門学校 生徒生活三原則である
1、衛生 2、礼儀 3、身だしなみ
を日々の実習で学び、それを実践する場でもあり自身の成長を感じることができます。プランタン実習は5日間という短い期間ですが参加した生徒の満足度は大きく、金曜日に販売する生徒の考案したケーキは瞬く間に完売するほど人気です。
こうした実践実習の中で最も学んでほしいのは、香川栄養学園の建学の精神である、「食により人間の健康の維持・改善を図る」です。
食べるもの、飲むものが人間の体の形成や健康のために重要な役割を担っていること、技術以上に必要な、安全で美味しいものを作るための心構えを身に付けることです。

プロフェッショナルの現場は製品を仕込む量と作業スピードが学校とは桁違いの世界です。洋菓子やパン専門店に来店するお客様、ホテルでの宴会や結婚式の進行は自分の都合に合わせて動いてくれるわけではありません、社会に出たら一日の仕事は時間との闘いです。清潔に丁寧に素早く適確に安全に協力して、それを身体に染み込むように意識しながら繰り返していくしかないのです。
製菓であれば、お菓子作りだけではなく、飴細工やチョコレート細工、マジパン細工、シュガーアートなどの技術を駆使して、ウエディングケーキやディスプレイを作成する技術と知識も必要になります。学校ではその心構えや基礎は伝えることができますが、プロフェッショナルな職人として成長し、技術と知識、そして人間力を磨くためには今も昔も変わらず数多くの実践と気づきを経て修練するしかありません。
現在のプランタンスタッフは、厳しい現場(ホテル・専門店)を経験してきた卒業生を主体に構成されており、社会とKagawaの先輩として生徒に接することができるのも大きな特徴です。行徳裕シェフを中心に少数精鋭で、プランタンの数多くの焼菓子や生菓子、パンを製造し、業務の忙しい合間にプランタンで実習生を指導するという日々のなか、自己研鑽と研究のため積極的に洋菓子コンテストへ参加するなど、より高い専門性が求められる環境を維持し、学園や社会の将来のために志高く取り組んでいます。
スタッフ自身が出来ることを常に考え自発的に行動できるので都内の専門店に見劣りしない商品構成になっており、お客様にも高い評価をいただけております。

■プランタン発の様々な社会活動
菓子工房プランタンは、ウクライナで大変な生活を強いられている家族や子どもたちへの支援のために、ピースフラワーマカロンを、令和4年4月4日から16日までの期間限定で販売しました。当初、100個限定での販売予定でしたが、皆さま方の温かいお心とご支援のおかげで446個を販売し、その売上げの8割にあたる8万9千円を国連UNHCR協会に寄付することができました(UNHCR:国連難民高等弁務官事務所)。

マカロン
▲ピースフラワーマカロン。天然着色料のスピルリナとベニバナで国旗の色をイメージし、ブルーベリーバタークリーム、佐渡産無農薬レモンと佐渡島烏山椒はちみつのコンフィチュールをサンドしました。平和への願いを込めて、1つ1つ丁寧に作りました。

「プランタン×SDGs」。今、地球は、経済、社会、自然環境など、さまざまな問題に直面しています。そうした問題を考え、解決していくために、国連は、持続可能な開発目標(SDGs)を掲げています。SDGsの17の目標のひとつが「平和と公正をすべての人に」。プランタンは、これからも、世界中で、子どもたちが飢餓に苦しむことなく、笑顔で幸せに暮らせる社会の実現にささやかながら貢献したいと思っています。
美味しく食べて健康に。健康づくりの観点からは、大学キャンパスのある坂戸市と協働で取り組んでいる“さかど葉酸プロジェクト″の関連で、プランタンでも葉酸クッキー(品質の劣化を防ぐため遮光袋入り)を販売しています。葉酸は、胎児の発育に欠かせないビタミンで、認知症や脳卒中の予防にも効果があるといわれています。現在、プランタンで販売している他のクッキー類にも全て葉酸を添加しています。
桶川市との産学連携では、今年度の新たな取組として、桶川梨を使用したゼリーやケーキ、シュトーレンの販売を行い、ご好評いただけました。生産者の方々が大切に育てた梨のうち、市場に出せず廃棄してしまう梨を加工して、希少価値のある商品に生まれ変わらせることができました。

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▲桶川梨を使用し開発・販売したお菓子、桶川市の生産関係者の皆様

日本最大級の洋菓子技術コンテストである、ジャパンケーキショーにおいて、日本中の有名シェフ洋菓子店の焼き菓子を持ち寄り、詰め合わせて販売する企画にプランタンも参加し、1000個の焼き菓子を提供し完売することができました。
今年のクリスマスケーキは、製菓科教員とプランタンスタッフが考案したケーキを販売します。クオリティーは都内パティスリーで5000~6000円相当のケーキをプランタン価格でご用意します。ご予約の受け付けも行っていますので、ぜひ、味わってみてください。予約のチラシのデザインは、製菓科卒業生であるイタストレーターのコイヌマユキ氏が担当しました。
▶クリスマスケーキのチラシ、ご予約はこちから>>>

来年は、月刊「栄養と料理」の連2023年連載企画として、プランタンのお菓子やパンを紹介する連載も開始予定です。こうした様々な発信を通して、お店のこと、オンラインショップのことをもっと知っていただき、プランタンの味をお試しいただきたいと思っています。

■これからもプランタンのモノづくりは続く
モノづくりの仕事は加工業です、素材を加工することにより価値を生み出していくことになります。現実の世の中は、手仕事で数が少ししか作れないものにも、工業製品と同じテーブルに乗せて、安さを求めてしまっています。この考え方では技術者の価値は消滅していきます。その結果が今の飲食業界を疲弊させている原因の一つだと思います。働き方改革や人口減少社会の中で、その現実は一層深刻化していくことになります。サステナブルなことは自然環境だけではなく、それを取り巻く労働環境や顧客の皆さんも含めた意識の変化が必要だと思います。

これからも菓子工房プランタンは、様々な社会活動に積極的に携わることで、パティシエやブーランジェが人々に感謝され喜んでいだける素晴らしい仕事であることに誇りを持って働くことで、プランタンの魅力、お菓子の魅力、Kagawaの学びの魅力を追求し、発信し続けていきます。大学が運営するパティスリーとして全国的にも唯一無二の存在を目指して、プランタンを利用してくださるお客様に愛されるお店作りを、香川栄養学園全ての皆様のご協力をいただきながらプランタンスタッフ一同協力して進めていきたいと考えています。



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