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第6回 香川芳子学術奨励賞授賞式、受賞講演会

10月20日(土)に坂戸校舎12501教室において、第6回香川芳子学術奨励賞の授賞式と受賞講演会が、卒業生と在校生、教職員を合わせて約200名の出席者の下で開催されました。

第6回受賞者は髙田裕子氏で、受賞タイトルは「都立病院における安定した輸血体制の構築への寄与 ~認定輸血検査技師として~」です。髙田氏は1980年に栄養科学専攻、検査技師課程を卒業した同コースの3期生で、本学では初めて東京都立病院の検査科に入職され、現在まで墨東病院、広尾病院、老人医療センター(現東京都健康長寿医療センター)、大塚病院に勤務されてきました。検査科では、特に輸血に関わる業務に携わり、早くから輸血の適正使用に関する活動を開始して現在の輸血体制の普及に大きく関ってきました。また廃棄血削減を目指した血液パックの有効利用法に深く関与したことなど、臨床現場における検査技師の育成と評価に多大な貢献をされてきました。これらの業績は都立病院の技師長や関係医療職より高い評価を受けています。

授賞式では、香川明夫学長から記念の表彰楯と奨励金が授与された後、身近な健康診断の話題を含めた検査業務の重要性が述べられ、臨床検査学コースの在校生を激励されました。

記念講演では、最初に、救急搬送された患者さんの輸血救命に対する安全チェックの重要性を紹介され、3回の各ダブルチェックによる確認業務だけでなく、輸血後3ヶ月、6ヶ月での検査、並びに常時行われている在庫管理の現状について語られました。他人の血液を体内に投与する訳ですから、輸血に伴う様々な悪影響、例えば輸血関連急性肺障害(TRALI)を防ぐために輸血管理体制の整備と適正使用が如何に大切であるかについて説得力のある説明がなされ、本コースの学生は社会で活躍するためのプロ意識について学んだことと思います。実際に、輸血後の肝炎発症が本当に少なくなった(2014年以降では0.00007%)現在は、技術の進歩だけではなく、輸血の基準や監査・審査に対する院内、及び関連学会が指導する適正使用推進委員会の体制整備が進んでおり、さらに点検認証システム(I & A)の構築も行われてきたことがわかりました。最近では病棟に臨床検査技師が入り易くなって輸血部門で活躍する技師の意識が高まっており、また輸血ワーキンググループの中に看護科の積極的な参加や活動も行われているようでしたが、その一方で、日々需要のある輸血の専門家である認定輸血検査技師は日本全体で1620人と大変に少ないとのことでした。今回の講演を機会に検査技師として人々に貢献できる輸血業務に関心をもってもらい、安全かつ適正な輸血推進のために本領域に携わる学生が増えることを希望しているとの髙田氏の言葉が印象的でした。このように、髙田氏から検査技師にとって身近で大変に重要な話を聞くことができ、学生を初め出席した多くの関係者にとって貴重な講演会になりました。


左:髙田裕子氏 右:香川明夫学長

左:香川明夫学長 右:髙田裕子氏