オメガ3脂肪酸の研究から魚食の大切さを発信!

オメガ3脂肪酸の研究から魚食の大切さを発信!

3 すべての人に健康と福祉を

脂肪酸の種類と健康との関わり

私たち日本人は、1日55gほどの油脂を取っています。摂取する油脂の大部分は脂肪酸と呼ばれる物質からなります。脂肪酸は、その構造から飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に大別され、さらに、不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸、オメガ6およびオメガ3脂肪酸に分類されます(図1)。通常、油脂は数種類の脂肪酸から構成されていますが、性質や機能性はそれぞれの脂肪酸の割合に影響を受けます。

飽和脂肪酸: 飽和脂肪酸を比較的多く含む食品は、豚肉、牛肉、バター、牛乳などです。過剰摂取は心筋梗塞などの心血管疾患のリスクを高めます。

一価不飽和脂肪酸: 一価不飽和脂肪酸は、動物性食品にも植物性食品にも広く含まれ、私たちのからだの中でも合成可能です。悪玉であるLDLコレステロールを低下させ、一方、善玉であるHDLコレステロールを上昇させる働きを持ちます。

オメガ6脂肪酸: オメガ6脂肪酸の代表的な脂肪酸は、植物油に多いリノール酸です。このグループの脂肪酸は体内で合成できません。リノール酸は、血中LDLコレステロールを下げる効果がありますが、取り過ぎてしまうと心筋梗塞罹患等を高めるとの報告もみられることから、適度な摂取を心がけることが必要です。

オメガ3脂肪酸:α-リノレン酸やエイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)がこのグループに含まれます。EPAやDHAは魚介類から摂取され、心血管疾患や脳卒中の予防効果、脂質異常症の改善効果等、さまざまな良い効果が報告されています。

オメガ3脂肪酸の研究から魚食の大切さを発信!

PAやDHAは魚から摂取する以外には、えごま油(しそ油)やあまに油などの植物油から摂取されるα-リノレン酸と呼ばれる脂肪酸からも、私たちの体内で合成することができます。ところが、この合成には遺伝的に個人差があります。日本人の約6割の方では、EPAやDHAが作られにくいことがわかっており、そのような方はより多くの魚の摂取が必要となります。基礎栄養学研究室(川端輝江教授)では、個人の体質に合わせて、健康に良い魚をどのように摂取するか、限られた海洋資源の活用について研究を重ねています。

T1:魚介類摂取量 0~23g
T2:魚介類摂取量 25~68g
T3:魚介類摂取量 70~390g
p<0.001:統計学的に3群間に差がある

図 魚介類摂取量別EPA及びDHA摂取量

[基礎栄養学研究室 川端輝江 教授]

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