ボディ・イメージに影響をおよぼす要因とその改善に向けた研究

ボディ・イメージに影響をおよぼす要因とその改善に向けた研究

ボディ・イメージは、ヒトが自分自身に対して抱くあらゆる価値観です。ボディ・イメージは個人の行動変容の基盤となる価値観ですが、身体的・精神的・社会的要因などによって変動し、影響を受けることが知られています。過度な身体不満は不必要な減量行動に繋がり、甘すぎる認識は肥満や生活習慣病のリスクを高めます。日本の若年女性では特に強いやせ願望と身体不満を持つことが知られていますが、過度なやせ願望は慢性的なエネルギー・栄養素欠乏につながり、妊娠期では低出生体重児の出産率を高める危険が生じます。低出生体重児は小児肥満をはじめ生活習慣病を発症するリスクが高いため、「適切なボディ・イメージ」を持つことは世代を超えた健康維持・増進に重要な要因となります。

栄養科学研究所の香川雅春准教授の研究室では、日本人若年女性のボディ・イメージと、それに影響をおよぼす要因について研究を行っています。これらの研究の一部は国内外の複数の研究機関と共同で実施しており、日本人女性は海外の女性よりも強い身体不満を持っていることを明らかにしています(図1)。また、世界中の女性そして次の世代の子どもたちの健康に重要な役割を担う「適切なボディ・イメージ」に影響を与える要因を特定することで、効果的な教育プログラムの開発を行っています。

図1.日本人若年女性と中華系マレーシア人女性の身体不満の違い
日本人女性(n = 197)、中華系マレーシア人女性(n = 291)、** p<0.01
J-Physique Evaluatorによる3D身体像.入力した身体計測値から身体組成も反映することが可能。今後のボディ・イメージ教育での活用に向けた開発が続いている。(女子栄養大学共同研究助成および東洋大学オリンピック・パラリンピック特別プロジェクト研究としての助成を受けて開発.51st Asia Pacific Academic Consortium for Public Health ConferenceにてExcellent Oral Presentation Award受賞研究(2019).)

[栄養科学研究所 香川雅春准教授]

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