教育・研究による取り組み

昆虫食に対する意識調査

昆虫食に対する意識調査

2024.05.13

昆虫食に対する意識調査

世界では人口が増え続けており、今後30年で97億人に達すると予測されています。このような時代にあって、食料や畜産物の需要の増加や現行の食糧生産システムに因る温室効果ガスの増加、また森林伐採による乾燥化・砂漠化、清潔な水の需要の増加と地下水を含む水質汚染の加速など、環境に対して今後さらに大きな負担をかけることが懸念されています。人口増加とそれに伴う環境負担の増加に対して持続可能な食糧生産システムが求められており、その選択肢の一つとして昆虫の食用利用が提案されています。

昆虫は高い栄養価を持ち、限られた空間と資源(水、餌)での養殖が可能なため、21世紀に入ってからは持続可能性の高さが注目され、宇宙空間での食素材としても提案されています。日本においても昆虫の食用利用は昔から食文化として存在し、近年は昆虫を原料とした商品の開発・販売が新しいビジネスとして注目が高まっていますが、将来の消費者となる現代の若者が昆虫食に対してどのような価値観や意見をお持ちなのかを詳細に調査し、海外の若者と比較した研究は存在していません。

そこで栄養科学研究所の香川雅春准教授は、マレーシア国立大学(Universiti Kebamgsaan Malaysia:UKM)の研究チームと共同で、食虫文化を持つ日本とマレーシアに住む若年成人男女に対して昆虫の食用利用に対する価値観や昆虫食に対する受容度の調査を行いました。本調査を通じて両国が持つ食虫文化の将来に向けた継承のための基礎情報の収集・比較を行い、国際的な持続可能な食糧システムの構築に向けて昆虫食を活用する可能性を検討しています。

[栄養科学研究所 香川雅春 准教授]