実践栄養学科は、管理栄養士になるための科目のほかに、プロフェッショナル科目群という管理栄養士資格をさらに発展・充実させるため、5つの系統に分けた科目をそれぞれ3科目ずつ展開しています。
医療栄養系では、1・2年次に基礎を学び、3年次の臨地実習を経て、自らのテーマにおいて医療現場の栄養について深く探求します。

実践栄養学科
食の力で支える、患者さんの未来。医療における管理栄養士の役割
医療分野で働く管理栄養士の「6つの柱」と、これからの役割
病院での治療は、薬や手術だけではありません。 実は、「栄養食事療法」 も重要な治療のひとつです。
管理栄養士 は、患者さん一人ひとりの病気や体の状態に合わせた栄養補給法 を考え、提供します。医師や看護師と協力しながら、「食べる力」を支え、回復を助ける医療チームの一員 として活躍しています。
また、病気にならないための予防 にも栄養は欠かせません。病気の仕組みや栄養の働きを理解し、健康維持や再発防止に役立つ食事 を考えることも管理栄養士の大切な役割です。
栄養管理により、人々の疾病の予防を図り、治療促進や悪化、再発の防止、栄養状態の改善につなげるプロフェッショナル
── それが医療現場で活躍する管理栄養士です。
医療分野で管理栄養士に求められている「6つの柱」
1.エビデンスのある栄養ケア
科学的根拠に基づき、効果を評価しながら継続的にサポートします。
2.病気の複雑化への対応
複数の疾患を抱える患者さんに対して、医療チームと連携して優先順位を考慮した栄養ケアを行います。
3.個別化
一人ひとりに合わせた栄養ケアを提供し、健康寿命の延伸を目指します。
4.コミュニケーション
医療チームの一員として、他職種と連携しながら患者さんや家族へわかりやすく伝えます。
5.テクノロジーの活用
AIやデータを活用して、効率的で質の高い栄養管理を実現します。
6.持続可能な食事の提供
食品ロス削減や環境配慮型の食事提供を推進します。
近年の医療は、患者さん一人ひとりの年齢、性別、遺伝情報、生活習慣、環境などの個別の情報を基に、最適な治療や予防法を提供する「プレシジョン医療」が基本です。栄養管理も同様であり、これからの管理栄養士は、個々の患者さんの栄養状態の評価・判定、栄養・食事計画、臨床栄養指導、療養生活の支援といった一連の「プレシジョン栄養」を実践し、医療の質を高める存在として、さらなる活躍が期待されています。
講義と実習の積み重ねが医療の現場で活きる
1・2年次は、基礎栄養学やライフステージ栄養学、解剖生理学、生化学、医学概論など、体の仕組みや必要な栄養、疾病の成り立ちについて学びます。
学んだ知識は最初は点のように感じるかもしれませんが、実際の医療の現場ではそれらがつながり、役立つ場面がみえてきます。
3年次の臨地実習では、個々の患者さんの状況や医療現場の専門用語に戸惑うこともありますが、その経験を活かし、4年次の医療栄養系プロフェッショナル科目の実習では、学生一人一人がテーマを決めて医療の場で患者さんの栄養管理の実際を体験、実習し、お互いに報告することで、より深く理解、学ぶことができます。
講義と実習を繰り返しながら、知識を実践に活かす力を身につけます。
患者さんによりそい、常に学び続ける姿勢
適切な栄養管理は、患者さんの命を救い、生活の質を向上させる力があります。 その価値を信じ、常に学び続けることが大切です。
本学の創設者・香川綾の言葉 「食は 生命 なり」 には、食べることが生きることそのものであり、健康や生命の維持に直結する という意味が込められています。
近年では、周術期やICUでの静脈・経腸栄養 など、高度な栄養管理も重要視されています。患者さんの栄養状態を的確に評価し、適切な栄養ケア計画を提案・実践できる管理栄養士 が求められています。
医療栄養系の学びを通じて、命を支える栄養の力 を実感しながら、管理栄養士としてのやりがいを感じ、誇りと責任を身につけていきましょう。
お話を聞いた先生

小児・思春期糖尿病
栄養学教育(臨床栄養学)