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[実践栄養学科]総合講座で「栄養」視点での食品企業の評価を学ぶ

学びと教育

[実践栄養学科]総合講座で「栄養」視点での食品企業の評価を学ぶ

多様化・複雑化する社会課題に、管理栄養士としてどう向き合うか。実践栄養学科では4年次に、卒業後の自身の活動に活かせるよう、食と社会・自然環境とのかかわりを複合的な視点で探求し、管理栄養士の実践活動について考察する「総合講座」を開講し、毎月、様々なトピックスや社会的課題を取り上げています。

『栄養」視点での食品企業の評価』をテーマに総合講座を開催

11月は「栄養」視点での食品企業の評価と題し、㈱明治 価値創造戦略本部の河端恵子先生にご登壇いただきました。

持続可能な開発目標(SDGs)を達成するためには、食と栄養の取り組みは欠かせません。(株)明治は、「栄養」面でのSDGs達成にむけて貢献するリーダー企業の一つとして、国際的に高い評価を得ています。今回の講義では、評価の観点の一つである「栄養価の高い食品の入手のしやすさ」に関連して、2024年9月に国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所(健栄研)から発表されたばかりの日本版「栄養プロファイリングシステム」も紹介されました。最先端の情報を授業で取り上げ、管理栄養士として社会へ貢献できることを考えます。

栄養プロファイリングシステム(NPS)とは

NPSとは、Nutritional(栄養を) Profiling(評価する)System(システム)の略です。世界保健機構(WHO)では、「疾病予防および健康増進のために、栄養成分に応じて食品を区分又はランク付けする科学」と定義しています。いち早くNPSを導入したフランスでは、食品パッケージの前面に“A”から“E”のランクを5色で示すラベルを付けました。商品の選択時に栄養価が一目で分かるため、消費者の購買行動が変わったことが実証されています。では、栄養価をどのようにランク付けするのか、その考え方、評価方法が重要になります。

日本における栄養プロファイリングシステムの状況

日本でのNPSは、食品企業が日本の食文化や料理の特徴も踏まえ独自に策定し公表していますが、それぞれ企業の考え方によって異なるものです。そうした中、2024年9月に、厚生労働省が所管する研究機関(健栄研)から、2つのNPS(加工食品版NPSと料理版NPS)に関する論文が公開されました。これらは未だ仮説の段階ですが、日本の食文化や健康政策に合わせたNPS開発に向けた最初の一歩となります。これらをたたき台として、今後さらなる検証・議論が進んでいくことになります。実用に値するものに発展させていくことができるかは、私たち次第、すなわち食品企業、アカデミア、関係省庁、そして栄養の専門家である管理栄養士・栄養士次第という大事なメッセージをいただきました。

専門職として常に新しい情報を自分から学ぶ姿勢を大切にしたい

卒業後、栄養学を学んだものとして、様々なところで活躍する学生たち一人一人がNPSをどう考えるのか最後に学生同士のディスカッションの時間があり、学びをさらに深めることができました。

受講後の学生さんの学びについてご紹介します。

●学生Aさんの学び~自分から情報を得て学び続ける~
国内だけでなく、国際的な動向も管理栄養士は知っておかなくてはならないと感じました。本日の授業で栄養プロファイリングモデルを知ったということもあり、自ら進んでそういった情報に触れる機会を持たないと、置いてかれてしまうと危機感を抱きました。

●学生Bさんの学び~管理栄養士の役割を見直す~
今後、栄養プロファイリングシステムを活用した食品評価や健康政策はますます重要性を増していくと予測されます。管理栄養士は、企業や行政と連携し、科学的な知識を元にした栄養改善活動を推進することで、国民の健康づくりに貢献することが期待されています。また、消費者に対しても栄養情報をわかりやすく伝え、より健康的な食品選びを促すことが求められています。このように、管理栄養士は企業、政府、消費者の橋渡し役となり、健康的な食文化の発展に寄与しています。