キノコのつくり

柄のつき方

生え方




担子菌類 子のう菌類 発生地 キノコの種類と樹種 発生季


葉緑素を持たない菌類の中で大型の子実体(キノコ)を作るものを
一般にキノコまたは高等菌とも呼んでいます。

 本体は栄養源となる土や木の中に伸びている微細な糸状の菌糸から成り立ち、菌糸は葉緑素を持たないため自分で栄養を生産する事ができず、もっぱら寄生生活ないし腐生生活を営み、やがて繁殖に必要な胞子(種子)を作るために子実体と呼ばれるキノコを形成します。菌糸は、高等植物で言えば葉や茎、根に相当し、キノコ(子実体)は花であり、果実に相当するものです。


キノコは胞子の作り方で大きく担子菌類と子のう菌類の2つに分類されます。
担子菌類
 人間の手のひらを広げたような担子器と呼ぶ4本の突起のある細胞上に4個の担子胞子をつくるもの。普通キノコ狩りの対象となる食タケ(食用キノコ)の大部分がこの仲間に入ります。

マツタケ目
キノコ狩りで馴染み深いものばかりでマツタケ、シメジ、シイタケ、ハツタケ、ヌメリイグチ、アミタケ、テングタケ等が代表種。

ヒダナシタケ目
この仲間にも食タケが多く、アンズタケ、コウタケ、ハリタケ、マイタケ、クロカワ、ホウキタケ、キソウメンタケ、マンネンタケ、サルノコシカケなど。

フクキン(腹菌)目
味の良いもの、あるいは菌類の花とうたわれるものが多く、キヌガサタケ、スッポンタケ、ショウロ、オニフスベ、キツネノチャブクロ、ツチグリ、クチベニタケなど。

キクラゲ目
ほとんど全部がゼラチン質のものばかりで食タケとして親しまれているものが多い。キクラゲ、シロキクラゲ、ハナビラニカワタケ、ニカワハリタケ、ツノマタタケ、ニカワジョウゴタケ。

子のう菌類
 子のうとよばれる細長い袋状の細胞の中に、普通八個またはその倍数の子のう胞子を生ずる。有名なセイヨウショウロや冬虫夏草がこの仲間に入り、子のう菌類は、さらに系統分類して次の六つの目に分けられる。

■セイヨウショウロ目

地中のモグラ生活で一生を終わらせる地下生菌ばかりで、フランス料理で有名な高級セイヨウショウロのほかクルミタケが日本から発見されている。

■チャワンタケ目

食タケとして特に外国で広く利用されているアミガサタケ、トガリアミガサタケのほかオオチャワンタケ、キンチャワンタケ、ヒイロチャワンタケシャグマアミガサタケ、ノボリリュウなどがこの仲間。

■ニクザキン目
冬虫夏草がこの仲間で、セミタケ、サナギタケ、ハチタケ、カメムシタケ、アワフキムシタケ、ハナヤスリタケのほか薬用菌として知られるバッカク菌もこの仲間。

■ツチダンゴ目
これもモグラ生活で一生を土の中で過ごす地下生菌、アミメツチダンゴ、クロツチダンゴ、ツツブツチダンゴ、ツチダンゴ、キツチダンゴ、コクロツチダンゴ、ニッコウツチダンゴ、チチブツチダンゴ。

■ビョウタケ目
食利用と結びつくものはない。ハナヤスリ(シダ類)、の果穂に似た形のテングノメシガイ、カバイロテングノメシガイ、マツバノシャモジ、テングノシャモジ、ヘラタケ、ホテイタケなど小型のものが多い。

■マメザヤタケ目
全体が硬い炭質からなるキノコで、朽木上にいずれも発生する。マメザヤタケ、ホソツクシタケ、ハマキタケ、フデタケ、チャコブタケ、ホウズキタケなど。

発生
■キノコの発生する場所は地上、地中、枯れ木上、生木上、コケ上、キノコ上、動物の体上
 平地から高山まで発生環境は広く高等植物に見られるような明瞭な垂直分布を示すものはあまりありません。
元来が寄生的な生物であるから、寄主となる基体ないし植物の分布と深い従属関係があって、この条件さえ満たされれば東西南北いずれの斜面や地形でも発生する可能性があります。


■地上のキノコは最も一般的で種類も多い
 腐植した落ち葉などの有機質を栄養源とする腐生型には、ハラタケ、ムラサキシメジ、コガネタケ、ツチスギタケ、サケツバタケなどがあり、樹木の根に寄生して菌根を作り半ば活物的寄生をするものにはマツタケのほかシメジやモミタケがある。前者の腐生型似はいるモノには人工栽培ができるものがあります。

■地中生のキノコの代表種
 海浜の松林に砂中に生ずるショウロのほか、一生陽の目を見ることのないツチダンゴやクルミタケがあり、フランス料理で名高いツラッフル(セイヨウショウロ・トリュフ)もこの地下生菌のひとつです。

■枯れ木上のキノコの代表種
 シイタケやナメコ、エノキタケ、ヒラタケ、ツキヨタケとたくさんあり、木材物質のセルロースやリグニンを栄養源とするこれらのキノコの人工栽培は最も簡単で、産業として広く普及しています。

■成木に生ずるキノコ
 マイタケのほか杉の根元に発生するニカワハリタケ、シイやカシの樹幹に生ずるカンゾウタケが代表種で、この他亜南極圏に分布するキツタリアは、ノトハーグスト呼ぶ常緑ブナの枝幹に発生する美しい食タケです。

■コケ上に発生するキノコ
 いずれも小さいものばかりでミズゴケタケ、ケコガサ、ヒメコガサ、ミズゴケタケモドキなど。

■キノコの体上に生ずるキノコ
 クロハツタケの傘上に寄生するヤグラタケ、ツチグリに寄生するタマノリイグチ、地下生菌のツチダンゴに寄生する菌生冬虫夏草にはタンポタケモドキ、ハナヤスリタケ、エゾハナヤスリタケ、エリアシタンポタケの仲間など。

■動物に発生するキノコ
 生体と死体に分けられ、生きた昆虫の体上にはラブールベニア菌の仲間が寄生します。
冬虫夏草の仲間は最初生きた昆虫を倒し、この遺体上にさまざまな形をしたキノコを生じ、オニゲナ菌は猛禽類に属する鳥の死体のうち骨や爪、くちばし上に、太鼓のばち形をした小さなキノコを発生します。

■動物の排泄物に発生するキノコ
 糞生菌と呼ばれ、馬糞、牛糞、ウサギ、カモシカ、シカなどの糞上に好んで生え、動物の種類でキノコの種類も異なるものがある。マグソタケ、ウシグソヒトオタケ、バフンヒトヨタケ、ウサギノチャワンタケ、カモシカハリタケなど。

■地中のアリ塚に寄生するキノコ
 ブラジル産のアリタケ、東南アジアに分布するシロアリタケなどいずれも食用となり、アフリカを含めて十余種の仲間が知られ、日本からはまだ発見されていないが、シロアリの多い南日本には分布の可能性がある。

キノコの種類と樹種の関係
 直接深いつながりのあるものと全く関係のないもの、あるいは両者の中間といった段階があり、大別して針葉樹と広葉樹に分けられます。

■針葉樹林に生ずるキノコ
 マツタケ、モミタケ、テングタケ、チャナメツムタケ、ハツタケ、クギタケ、ヌメリイグチ、オウギタケ、ハナビラタケ。

■広葉樹林に生ずるキノコ
 ウラベニホテイシメジ、シイタケ、タモギタケ、ハエトリシメジ、イッパンシメジ、カワリハツ、アカジコウ、ナガエノスギタケ、コウタケ、トンビマイタケ。

■両者の混生林ないしあまり樹木の選択をしないもの
 シメジ、ツルタケ、チチタケ、アカヤマドリ、クリタケ、ナラタケ、サケツバタケなどがある。

発生季
 キノコと言えば秋というイメージが強いのですが、ほかの季節にも発生します。
キノコの中には秋だけに発生するものもありますが、そればかりでなく春と秋に出るもの、あるいは春から夏を通して秋までと長期間発生するもの夏から秋、春または夏だけといったキノコの種類によってそれぞれ広い幅の発生季というものがあります。

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参考
原色キノコ全科見分け方と食べ方
清水大典 家の光協会 昭和43年第1版

キノコの辞典 
編者:中村克哉 発行者:朝倉邦造 発行所株式会社朝倉書店 1982年2月25日初版第一刷 1983年5月20日 第2版



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