- 大学院の紹介
研究科長メッセージ
人にとって普遍かつ根源的な栄養学を追求する
研究科長・教授
田中 茂穂
TANAKA, Shigeho
あらゆる人にとって、“栄養”は生きていく上での基本
どんな人でも、食物を摂取して体内に摂り込み、エネルギーとして利用したり、体の中の組織・臓器を破壊・合成・蓄積を繰り返したりする、“栄養”と呼ばれる営みを常に行っています。したがって、栄養について理解を深めることは、生きている限り、不変的で根源的なことになります。
わかっているようでわかっていない“栄養”
しかし、人の栄養や健康について考えてみると、わからないことがたくさんあります。例えば、エネルギーや栄養素の摂取量は未だ正確に把握できませんし、健康的な食事や生活習慣がわかっていても実行できない人にどう対応したらよいかも、十分な答はありません。今でも「日本人の食事摂取基準」(厚生労働省)が 5 年毎に改定され、数多くの論文の結果に基づいて新しい内容が追加されていることは、「何をどのくらい食べたらよいか?」という基本的なことさえまだまだわかっていないことを示しています。また、世の中には食や健康に関する知識が溢れていますが、必ずしも正しいとは言えない情報がたくさんあり、異なる専門家から異なる意見が出ることもしばしばです。 これらの疑問を解決し、より多くの人に還元するには、科学的な手法に基づいた“知”を形成していくことが重要です。
栄養学・保健学で扱う内容としては、以下のようなことが挙げられます。
- 様々な栄養素や食品成分を、どのくらい摂ったらよいのか?
- どのような生活習慣が、その後の健康にどのように影響するのか?
- 性別や年齢、健康状態、目的(例:健康長寿、競技成績…)によって、どのような違いが出るのか?
- 栄養状態・健康状態についてどのように評価し、行動変容につなげていけばよいのか?
- 生活環境や社会経済状態は、生活習慣や健康にどう影響するか?
- 学校や地域で心身の問題を抱える人に、どのようなサポートができるか?
- 全ての人が健康な生活を送るために、どのような仕組みが必要か?
“栄養学”は最も実用的な学問
これらの疑問について、専門的かつ科学的に追求し、疑問の解決を世の中に還元できるのが、栄養学の大学院です。特に、食や健康に関する仕事に就いて真摯に取り組んでいると、そうした疑問を解決したいという意識がより強くなります。そのため、栄養学・保健学の大学院は、大学から進学する方だけでなく、社会人を経験してから進学する方もたくさんいます。問題発見力や論理的な思考・方法に基づく問題解決法を身につけることは、研究職に就かなくても重要なことです。
栄養学・保健学に真摯に向き合い、“研究力”を磨く数年間を送ってみませんか?