令和2年度 食文化栄養学実習

山下史郎ゼミ■フードマーケティング研究室


アニメシ!
アニメーションにおける食表現の研究


 自分の顔より大きなお肉にかぶりつく。腕一杯のばしてもまだまだのびるチーズ。
 アニメに登場する美味しそうな料理を見て思わずお腹を空かせてしまう、そんな経験をしたことのある人は多いのではないでしょうか。私が特に印象に残ったのが宮崎駿監督「崖の上のポニョ」のラーメンを食べるシーンです。具材はハム、卵、ネギとシンプルながら油の浮いたスープとふたを開けた時の湯気で、ラーメンの香りが伝わってくるようです。宮崎監督はほうれん草がのったラーメンを描こうとしましたが、うまく描けないためネギになったそうです。また、ラーメンの上にのっている2枚のハムのうちよりスープに接して熱くなった下のハムをポニョがとるよう修正しました。一シーンへのこだわりが感じられ大変面白いです。アニメは絵と音で表現されるもので、料理の味も香りも分かりませんし実写動画に比べてもその再現性は低くなります。それなのになぜ美味しそうに見えるのか?という点に注目しました。アニメーションで描かれる「ラーメン」のシーンを参考に見ていきます。
 アニメで料理を美味しく見せるには<料理の外観><料理の温度感><食べるシチュエーション><料理に対する言及><キャラクターのリアクション><音>の6 つが必要だと仮定しました。さらに冒頭に挙げたようなアニメーション的表現が重要であると考えます。調査資料としてアニメのラーメンが登場するシーンを100以上集めデータベース化しました。それをもとに比較・分析するとアニメっぽい絵もあればリアルのものに近い絵もあります。他にも湯気の表現の仕方など作品によって様々な違いが見られました。アニメっぽい絵とリアルに近い絵はどちらがより美味しさに繋がるのか、湯気の有無は?など栄大生へのアンケート結果を含め「美味しく感じる」アニメーションの食表現についてその要因を考えます。