令和2年度 食文化栄養学実習

宮澤紀子ゼミ■食品化学研究室


トマトのトリコ
トマト好きがお送りするトマト提案


 「好きな食べ物はなんですか?」この定番の質問、私は即答で「トマト」と答える。可愛らしい丸いフォルム、鮮やかな赤色、甘酸っぱくて瑞々しくて。好きなところをあげ出したらキリがない。トマトなら無限に食べていられると思うくらいだ。そこで、トマトの魅力を自らの実践的な体験を通して探索し、魅力をより多くの人に知ってもらうことを目的とし、魅力の探求とレシピ提案を行った。生で食べてみたり、コトコト煮込んだり、多くの食べ方があるからこそ、その中でより魅力を引き出せるものを探した。さらに、料理を作るだけでなく、トマトのプランター栽培にも挑戦した。苗植えから収穫まで行い、栽培のやりがいを感じた。特に、大雨や台風など、天候による苗の変化に対応していくのが難しかった。この経験を通し、自分で野菜を育てる喜びと楽しさをレシピにプラスすることができた。嗜好性の品種による違いや調理法による変化は、官能評価を用いて科学的に検証した情報を提示した。レシピは、トマトの品種ごとに特徴を活かすことができる料理の試作から始めて、トマトソースといった定番のレシピからトマトの味噌汁やトマトのマフィンなどといった変わったトマト料理の提案に至った。トマトひとつにしても、品種によって甘味や旨味が格段に違うこと、煮崩れがしにくいなど調理の面でも特徴が出てくること、生で食べるのと火を通して食べるのでは甘味の特徴が大きく違うことなどがわかった。特徴をつかみながらより美味しいレシピが提案できるよう試行錯誤を重ねた成果は、1 冊のレシピ集にまとめた。
 私はこの研究を通して、大好きだったトマトにさらにトリコになった。人間に欠かせない『食べること』だからこそ自分の好きなものをよりおいしく調理して食べてみてはいかがだろうか。日々の中の小さな幸福をぜひ見出してみてほしい。