令和2年度 食文化栄養学実習

宮内正ゼミ■文化学研究室


食べよう日本のおいしい魚


 好きな魚料理は、と聞かれてすぐに答えられるだろうか。そもそも魚料理とはどういう料理、と聞かれてすぐにイメージが浮かばない人も多い。わたしたち若者にとって最も身近な魚料理はなんだろうか。
 実家で出される魚料理といえば『鮭』が多い。鮭の塩焼きや西京焼き、または鮭のムニエルなど、おもに鮭の切り身を使用した料理だ。母が家で魚を捌いているところは目にしたことがない。そもそも魚をまるまる一匹買ってきたところを見たこともない。鮭に限らず、切り身を買ってきて調理する家庭も少なくないのではないだろうか。近年我が国では、若年層を中心に急速な『魚離れ』が進んでいるようだ。かつて日本は、魚が豊かに採れたことから、日本文化と魚食は深く結びついている。例えば、お正月のおせち料理に欠かせない田作りは小魚を煮詰めたものであり、また結婚式など、おめでたいときには尾頭付きの鯛を供するなど、日本人の文化に魚料理は欠かせない。また、寿司は子供からお年寄りまで幅広い年齢層に人気である。しかし、現実には、若者は魚料理から離れてしまっているという調査結果が出ている。なぜか。その答えとして、現代の日本人は常に仕事や家事・育児などに忙しいことこそが、日本人の魚離れに繋がっている大きな原因ではないかと考えた。
 最近は、時短料理がブームである。いかに調理時間を短くしつつ美味しい料理を作るかが重要だ。ところが、魚料理は、丸々一匹買ってきて調理するとなると、どうしても手間がかかってしまう。ならば、切り身や刺身などをうまく使えば、家庭で魚を食べる機会を増やすことができるのではないか。
 今回の発表では『忙しい現代人の生活』という視点から、家庭で魚料理を食べなくなってしまった原因を掘り下げていこうと考えている。