令和2年度 食文化栄養学実習

宮内正ゼミ■文化学研究室


異装へのあこがれ
それぞれにとっての異装と理想


 人は時に異装をする。その異装という行動には様々な意味や感情があらわれる。前回は、人は異装に興味を持つが、実際に行動に移すか、という問いに対して、自身に対する自己評価が非常に影響している、ということが分かった。どの年代も「異装に興味がある」と答えた人の割合が多かったのに、「実際にしてみたいか」という質問に対しては、若い人のほうがYesと答え、年齢が高くなるにしたがってNoと答える割合が増えた、ということから、それは明らかだ。
 そして、このときの調査対象はすべて、普段から仕事などで異装はしない、という、いわゆる一般の人々であった。 しかし、異装することを「職業」とする人々も多く存在する。彼ら/彼女らはどうであろうか。そして、普段から異装をすることをどう思い、何を感じているのか。
 そこで、特殊モデルとして自ら異装をし、幅広い媒体に出演し活動している「七菜乃」さんに、直接インタビューをしてお話を伺ってきた。彼女曰く、「毎日がコスプレ、異装である。そもそも自分をこうだ、という枠にあてはめてはいない。異装をし、様々な自分や姿へと変わる概念は、当たり前に存在するものである。そして、異装をすると気分は変わる。異装は、仕事の延長線上にある結果であり、自身にとっての日常であり、特別派手かというとそうでもなく、とても身近にあるもの」だそうだ。
 すなわち、異装に対する考えは、一般の人と異装を職業とする者とで、大きく違っている。とくに決定的な違いは、異装が「身近」なものであるか否か、という点だろう。ただ、異装によって気分が変わる、という調査結果もしっかりと出ている。自己理想の実現、気分の転換に、異装は大きく貢献するに違いない。私もこの人生に、異装を取り入れて彩りを与えていきたいと思う。