令和2年度 食文化栄養学実習

宮内正ゼミ■文化学研究室


食事シーンで見せる表情
言葉を使わなくても伝わる美味しさ


 ご飯を食べる時に大口を開けて美味しそうに頬張る人がいると、見ている私も幸せになります。そんな経験はありませんか?もしそれが一人で食事をしている人だったら、と考えますが、実際そんな人は見たことがありません。美味しそうに頬張る人の先には同じく食事をしている相手がいます。一人の時に笑顔で「美味しい」と言葉にしたら周りのお客さんは驚きますが、店員さんは驚きつつも嬉しいと思います。顔に出やすい私は、そんな世界が愉快で楽しいのではないかとも思ってしまいます。
 きっと多くの人は、一人よりも相手がいる時の食事回数の方が多いはずです。それでも、見せる表情は全て同じではありません。表情は自然に出るものですが、気が付かないうちに人と場所によって左右されるものなのです。前回は一人での食事と複数人での食事を比較し、相手がいる場合は「誰と」が表情と関係しているとわかりました。美味しそうに食べる人の特徴として、作っていない自然な笑顔、が大きいのに食べ方が綺麗という特徴があります。それは、料理が美味しいことは前提として、食べた時に顔に出せるくらい親しい間柄の人が目の前にいるからです。
 なぜ表情や表現こんなにも多種多様なのか、この疑問を持ち始めてから飲食店に行くと、人を観察してしまいます。美味しそうに見えて思っていた味と違うこともあります。それが高級レストランで大切な人との食事だったら、美味しいと言うと思います。逆に、ファミリーレストランで友達と食事をしている時は顔にも言葉にも出ます。おもしろいです。アニメやドラマの世界を見てみても、設定はありますが相手や話している内容によって表情に違いが出ます。今回は、対人関係、場所、性格の三点に注目し、その時その場にいる人にどのような影響があるかを具体的に考察します。