令和2年度 食文化栄養学実習

平野覚堂ゼミ■ビジュアル・コミュニケーション研究室


想いを伝える焼き菓子ギフト


 私たちは日常的に贈答の文化に触れている。日頃の感謝の気持ちを込めてお中元やお歳暮を贈ったり、お祝い事にも贈り物を渡す。贈り物にはタオルや花束、食料品といった様々なものがあるが、贈り物の中でもお菓子は一般的なものであり、誰かに焼き菓子を贈った経験がある人も多いのではないだろうか。私もその一人である。焼き菓子は日持ちもするし、あまり好みも分かれないため、贈り物として選ばれやすい。しかし、焼き菓子の種類は決まっていつも、マドレーヌやクッキー、フィナンシェにドーナツなどが選ばれる。何が違うかといえば味くらいだ。プレーン、ココア、紅茶、コーヒー、そんなありきたりなよくある焼き菓子を詰め、「ありがとう」や「おめでとう」の想いをのせて贈る。詰められたお菓子それぞれに決まった意味はない。何を選んでも「ありがとう」や「おめでとう」をのせることができる。では、焼き菓子自体に意味があったらどうだろうか。贈られた焼き菓子にどんな意味が込められているのか、きっと知りたくなることだろう。お菓子にも生まれた理由があり、そこに込められた想いがあるのだ。
 最近では、以前と比べて人と会うことを躊躇ったり、なかなか地元に帰ることができない人もいる。そんな今だからこそ、いつもは直接伝えられないようなちょっと気恥ずかしい想いや、普段言えなかった想いを、思い切ってギフトにして贈ってみよう。皮肉めいたことでも、お菓子にして伝えてみたらクスッと笑えてしまうかもしれない。贈られたひとつひとつの焼き菓子の意味から、それがどんな想いが込められたギフトなのかを考えてみるのも楽しいはず。また、普段ギフトではあまり見られない焼き菓子も入れてみた。そのお菓子の存在や由来を知るきっかけになるといいし、ギフトにおける焼き菓子の可能性が広がってくれるといい。「大切な人に自分の想いを、お菓子を通して伝えてみませんか?」