令和2年度 食文化栄養学実習

平口嘉典ゼミ■食料・地域経済学研究室


老舗醤油蔵元での新商品


 埼玉県坂戸市を拠点とする老舗醤油蔵元「弓削多醤油」が醤油の販売だけに限らず様々な試みをしていることを知り、共に取り組み醤油市場を盛り上げたいと考え、このテーマに至った。
 本研究の目的は、弓削多醤油株式会社とのコラボレーション事業を通して醤油業界にて新たな挑戦をして醤油市場を盛り上げることである。地域の企業が脚光を浴び、売り上げが伸びることによって、地域全体の振興につながる起点にする。そのために文献調査、弓削多醤油本社・店舗にて聞き取り調査および・市場調査を行う。調査を元に新商品開発を行い、事業拡大、新市場参入を試みる。
 全国的に醤油の購入量が減っている中、現在国内では木桶仕込みの醤油が、国外では甘みに特徴のある溜醤油が注目されていた。また近年新ジャンルとして誕生した生醤油の人気が高いことがわかった。
 弓削多醤油川越店にて木桶仕込み醤油を使用したテイクアウトスイーツの開発を行った。目新しく斬新なもの、他の食べ歩き商品と同程度の単価の獲得を目指し、「おしょうゆ屋さんの和風パブロバ( 仮)」を考案した。ターゲットを10代後半~20代の女性に絞り、オーストラリアやニュージーランドが起源といわれている「パブロバ」をイメージしてカップデザートに仕上げた。焼きメレンゲとカラメルソースに「木桶仕込み醤油」を混ぜ込み、豆乳クリームと柚子ピールを使うことで、和のテイストを楽しめるお菓子となった。2020年10月のプレスリリースを経て、翌月11月に販売を開始した。
 この研究を通じて、醤油×洋風スイーツの新たな組み合わせを発信することができた。商品が話題を呼び、醤油業界に新たな風が吹くことを願いたい。そして、少しでも多くの人に作り手の思いや醤油の良さが伝われば嬉しく思う。