令和2年度 食文化栄養学実習

平口嘉典ゼミ■食料・地域経済学研究室


Farm to Table
~川越産農産物を使用したメニュー提案~


 埼玉県川越市は県内で第3位の人口を擁し、年間700万人以上の観光客が訪れる街である。私は、川越市場でのインターンシップや地元企業の方々との交流を通じて、川越市の食と農業に関心を持った。そして、川越産農産物の魅力発信により、川越市の新たなアピールポイントを作ることができると考えた。
 本研究は、川越産農産物の魅力発信のため新たな料理メニューを作り、地場農産物の消費促進と地域振興に繋げることを目的とする。そのため第1に現状把握のために市役所の農政課へのヒアリングと地元住民へのアンケート結果分析を実施した。第2に地場農産物の魅力発信のために市内飲食店へのメニュー提案と、田植えや野菜の収穫体験などの農業イベントへの参加を実施した。
 川越市の農業においては農業者の減少と高齢化が進んでいるが、農業産出額は県内第2位を誇る。市では農業を重要な産業と位置づけ、2019年度より「川越市農業振興計画」が実施されている。また、アンケート結果からは地場農産物を使った料理メニューや市民農園などに関心を持つ消費者が多く居ることが分かった。見えてきた課題としては、地場農産物を提供している飲食店の不足、国内産と川越産の差別化が挙げられた。以上の課題を踏まえ、メニュー提案を通じて地場農産物の新たな活用方法の発信を行い、購買促進を目指した。また、農業イベントで栄養価や調理方法に関するチラシ配布を実施した。
 地場農産物の消費拡大は地元農業と関連産業の活性化にも繋がるため、食を通した地域振興の意義を再確認できた。また、「地域の食」のアピールのためには美味しさや見た目に加え、物語性や持続性にも目を向けることが必要だと感じた。地域経済支援や食料の安定供給という観点からも地産地消が注目を集めており、地場農産物の生産と消費を繋ぐ活動は今後さらに重要になってくるのではないだろうか。