令和2年度 食文化栄養学実習

根岸由紀子ゼミ■栄養科学研究所


野菜の食べられる廃棄部位について


 野菜を調理する際に種やわた、皮を取り除いて捨ててしまう人は少なくないだろう。それらの部位は七訂食品成分表でも廃棄部位(「通常の食習慣において廃棄される部分」) として扱われている。( 香川、2017、P3) しかしそれらは食べられないわけではない。食べたからといって健康を害することはなく、むしろ普段食べている部位よりも栄養価が高い部位があるにも関わらず捨ててしまうのは非常にもったいない。そのため廃棄部位が食べられることを周知し、自然からの恵みを最大限に活用してもらうこと、ひいては食品ロスの削減を目的として実習に取り組んだ。
 まず始めに廃棄部位とされる野菜の部位およびその部位の栄養成分と特徴を調べた。それにより普段食べている部位よりも甘みがある、苦味成分を含まない等の特徴を持つ部位があることが分かった。また、廃棄部位とされている部位でも国や地域によっては食べるのが当たり前のところもあることが分かった。
 次に廃棄部位を活用してもらうため、家庭で作れる廃棄部位を使った料理レシピの考案および作成を行った。その際には手間と時間をさほどかけないことを意識し、実践してもらいやすくした。考案したレシピはインスタグラムにて公開している。また、川島町のブロッコリー農家様ご協力のもと、通常は出荷される前に取り除かれるブロッコリーの葉を乾燥粉末にしたものを用いた商品考案も行った。
 「いくら栄養があって味が良くても、今まで捨てていたものを食べることに抵抗や違和感を抱く」という声が中間報告会では複数寄せられ、廃棄部位の利用を高めるのは難しいと改めて感じた。しかしかつて廃棄部位だった鮪のトロ、鳥獣肉の内臓が現在では食べるのが一般化していることから、野菜の廃棄部位も廃棄されないのが常になる可能性があると考える。