令和2年度 食文化栄養学実習

田中久子ゼミ■公衆栄養学研究室


一杯の牛乳から酪農を考える
消費者になにができるのか


 私は幼少期から現在にかけて牛乳が大好きで、毎日飲んでいました。牛乳は畜産物であり、スーパーを通して消費者の手に渡るまでに非常に多くのプロセスを要します。私は牛乳を愛する消費者として、生産と流通の仕組み、また生産における現状理解を深めたく、研究テーマに牛乳を選びました。
 近年では複数の社会現象によって牛乳の消費が低迷しており、酪農の経営難を課題に感じます。私は、食品はすべて生産者があってこその恵みであると考えます。研究をとおして、生産者と消費者の双方にやさしい酪農を考え、日常的に牛乳の消費を活性化できるような、身近な改善策を提案します。
 牛乳の消費量低迷の背景には複数の要因があり、同時に酪農家の戸数も減少しています。中間報告では生産量・消費量および酪農家戸数の現状調査や、生産から消費までのプロセスについて発表しました。
 牛乳の消費量低迷には大きく三種類の要因があり、社会的要因、消費者的要因、メーカーなど生産者的要因があります。実際にはこれら三つの解決なしには、消費量低迷を脱するのが難しいのが現状です。
「バターやチーズは売れても、牛乳が消費されないとなぜ酪農家が困るのか?」といった疑問のように、乳製品と牛乳の大きな違いを知らない人は多いのではないでしょうか。酪農で生産される「生乳」は用途別に飲用乳・原料乳に分かれ、販売の際に飲用乳と原料乳で価格が異なります。近年は乳製品の消費量が増え、安価な原料乳の需要が伸びる一方、牛乳となる「飲用乳」の需要は減少しています。
 酪農家の利益増加のためには、牛乳そのものの消費量を増やしたいですが、調査より若年層の牛乳消費量が非常に少ないことが分かりました。このことをふまえ、本発表では消費が控えめな若年層に焦点を当て、日常的に牛乳を飲む意識改革、メニュー提案を行います。