令和2年度 食文化栄養学実習

竹内由紀子ゼミ■食文化研究室


海外にルーツを持つ子どもの日本における食事情
日本の給食と海外文化


 私は、両親またはそのどちらか一方が外国出身者の子ども、いわゆる「海外にルーツを持つ子どもたち」が学校給食や日常生活、食育などの場面で、戸惑ったことや困ったことなどを知りたいと思い、研究のテーマにした。先行研究を探索しつつ、実際に海外にルーツを持つ子どもに対してインタビューしていく計画であった。しかし、コロナウイルスの感染拡大でこうしたことは困難になり、学校側や区の教育委員会等にもアプローチする予定だったが、こちらも中止せざるを得なくなった。
 そこで今できることを考え、コロナウイルスの感染拡大の状況下において海外にルーツを持つ子どもやその親が、どのような状況に置かれているのか、また今の状況をどのように把握しているかについて調べることにした。ニュースでは、支援機関や日本語教室が子どもたちへの思いを綴り、また子どもたちや親を対象にアンケートを実施し、生の声を聞いていた。また、食に関しても評価すべきニュースがあった。北区の保育園で給食が一部、イスラム教の子どもも安心して食べられるハラール認証に対応した給食を提供するという。ハラール認証とは、イスラム教で禁止されている豚肉やアルコールなどが含まれていないことを日本のイスラム教の認定機関から認められたものが取得できる認証である。全130人のうち 8人のイスラム教徒の園児のためにこうした取り組みを行うというのは、今までの日本における常識を覆し、同じ保育園に通う非イスラム教徒の子どもたちに対し世界や他者に目を向けるきっかけになったと思う。
 これら新しい情報等を交え、コロナウイルス危機の影響下の海外にルーツを持つ子どもの現状を整理する。今回の報告では、海外にルーツを持つ子どもの生活や新たな食に関する情報を資料により確認した。今後も、知り合いなどを通じて海外にルーツを持つ子どもの体験談をインタビューしたいと考える。