令和2年度 食文化栄養学実習

竹内由紀子ゼミ■食文化研究室


韓国と日本のひとりご飯
日韓文化の違い


 わたしは、韓国が好きで以前から何度も訪れている。韓国は、日本と同じ東アジアでありながら、似て非なる食文化に非常に興味を持っていた。さて、わたしは年々ひとりで食事をする機会が増えている。日本でひとりご飯は珍しいことではなく、定着している。現在の日本は、ひとりで食事する人が多い国だと思う。ひとりで食事ができる場所がとても多く、カフェから焼肉までさまざまなジャンルをひとりで食べることが可能である。いっぽう、韓国では、ひとりで食事する習慣があまり無いように感じた。
 2019年8月に、現地調査を行った。市場や簡易的なカフェでは、ひとりで過ごしている人を見かけたが、しっかり食事する場所ではやはりひとりで食事している人はあまり見かけなかった。焼肉やサムギョプサルなどは1人前からは注文出来ない店が多い。ひとりでの入店を断っている店もあった。新大久保での調査でも、焼肉や鍋物は2人前から注文可能であった。韓国ドラマの食シーンに注目しても、集団で食事をするシーンが非常に多く、ひとりの食シーンは、ひとりであることを際立たせる演出がされていた。一方で、近年ひとりご飯は増えつつあるという。従来ひとりご飯の印象はあまり良くないものであったが、現在では見かけることも珍しくなくなりつつある。日本の「孤独のグルメ」の人気、自宅で“モッパン”(食べると放送を掛け合わせた単語)と言われるYouTube を見ながら食べるなど、“おひとりさま”を肯定する社会の流れが出来はじめている。
 韓国の飲食店では、基本的にひとりで食べることを想定していないことが分かったが、コロナ禍など今日の背景を考えると、韓国でもひとりご飯はもっと当たり前になっていくのではないか。