令和2年度 食文化栄養学実習

竹内由紀子ゼミ■食文化研究室


京都舞妓の食文化


 現代において、ファストフード店やコンビニエンスストアなどを利用することは珍しいことではない。しかし、これらの利用を制限されている存在を知った。それが「舞妓」である。舞妓は独自の食文化を持つと言える。普段舞妓の姿ではファストフード店やコンビニエンスストアなどを利用することができない。そのため、彼女たちの食生活は共同生活をしている「屋形」での食事が中心となる。また、食文化のみならず、携帯電話を所持していない、所持金をほとんど持たないなど、現代においても独自の文化で生活していることを知り、関心を持った。実習のテーマはこの舞妓の食文化について実態を調べることとした。
 前回の報告会では、まず舞妓とはどのような存在であるかについて示した。「舞妓」の意味や舞妓になるまでの過程、舞妓・芸妓の姉妹制度について紹介した。また、舞妓の食文化として「ご飯食べ」について注目し、「ご飯食べ」に関するエピソードを紹介した。「ご飯食べ」とは、常連客である旦那衆がひいきにしている芸舞妓を連れて食事に出ることをいう。日々忙しく過ごす芸舞妓たちに息抜きをさせてあげたいという、旦那衆の心意気である。お客とご飯食べに行くことは、舞妓たちにとっては仕事でもあり、時には息抜きにもなる。舞妓たちが花街でのキャリアを築くうえで大切な仕組みなのである。
 このように、舞妓は仕事においても独特な食文化の中で過ごしていることがわかった。同時に、舞妓には仕事としての時間とプライベートな時間のそれぞれの時間で、独特な食文化があることに気づいた。
 今回の発表会では、この点を踏まえて、舞妓たちの仕事としての食文化とプライベートな時間での食文化、2つの視点から舞妓の食文化の実態を報告する。