令和2年度 食文化栄養学実習

竹内由紀子ゼミ■食文化研究室


日本の伝統しょく文化
~伝統色から伝統食を考える~


 私は「食」と同じくらい「色」について興味がある。「食」と「色」を組み合わせた研究がしたいと思い、このテーマに決めた。世の中にはさまざまな色があるが、日本の伝統色には食べものに由来する名前の色が存在する。私は色の名前から、人々の暮らしについて見えてくるものがあるのではないかと考えており、日本の色と食文化にどのような繋がりがあるのか分析することを本研究は目的としている。
 「日本の伝統色」とは日本人の色彩感覚に基づいた色であり、古代にはじまり昭和中期くらいに出典があるものをいう。日本の伝統色には植物や動物、自然現象からとられたものが多くあり、食に関係している色も存在する。たとえば、葡萄色や小豆色などのように食べものの名前がついた色が存在している。
 前回は、色の歴史に注目して研究を進めた。まず飛鳥・奈良時代では冠の色や服色の制度がつくられ、色がステータス・シンボルとして使われていた。地位の上下を色であらわしたことから、色彩にたいする関心が高まっていたことがわかった。次に平安・鎌倉・室町・江戸の各時代の色を示した。たとえば、平安時代では紫系の華やかな色を「めでたき色」として好んでいた。それにたいし、鎌倉時代では武士の世になり、男性的な藍染めの色が主流になった。そして、室町時代では茶色系の色を染める染料に、栗などの樹皮・胡桃の実などで煎じた液体を用いて染めていた。また、江戸時代では茶色を「粋な色」として用いていた。これらのことから、各時代ごとに流行した色や染料技術は異なることが確認できた。それと同時に、日本人は遠い昔から色を生活や文化のなかに活用していたことがわかった。
 前回の中間報告では、日本の歴史と色の関連について発表した。今回の発表では、各色名が成立した時代的特徴を把握し、日本の伝統色と食文化との関連を報告したい。"