令和2年度 食文化栄養学実習

高橋勝美ゼミ■地域食産業学研究室


アカマンボウのコラーゲンの性質


 コラーゲンは動物の体内に最も多く存在するたんぱく質であり、そのペプチドは安全で安価な素材として化粧品や食品の分野など広く利用されている。国内におけるコラーゲンペプチドの市場推移をみると、2001 年の取引量は合計1088tであったのに対し、2018年度には合計5839tと、市場が急激に拡大している。その中で、食品用途は、市場全体の80%以上を占めており、食品に利用可能なコラーゲンペプチドを生産することは重要であると考えられる。また、コラーゲンは陸上の動物由来と魚類由来に大別されるが、牛のBSE や豚の口蹄疫などの伝染病が発生して以来、魚類由来のコラーゲンが注目されている。一方、海産魚として流通され始めているアカマンボウ( マンダイ) は、イミダゾール化合物のバレニンを多く含む魚として、加工利用性が注目されている。またその加工残渣には、コラーゲンの原料となる真皮や筋肉の結合組織が多く含まれるため、コラーゲンペプチドの製造は、食品廃棄物の有効利用となることが考えられる。
 本研究では、アカマンボウのコラーゲンを精製し、性質を調べ、食用とした場合のコラーゲンペプチドの特徴を明らかにすることを目的に研究を行った。初めにアカマンボウの皮と筋肉から、それぞれコラーゲンの精製を行った。精製は3 回行い、回収率から推定される利用可能なコラーゲンの含有量を調べた。次に、精製したコラーゲンの電気泳動分析やアミノ酸組織などを調べ、既知のものと比較を行った。
 今回の研究から、加工残渣である真皮にはコラーゲンが多く含まれていることが確認できた。こうした資源の有効活用は廃棄物の減少につながり、さらに食品素材として利用される可能性を十分含んでいると考えられる。