令和2年度 食文化栄養学実習

高島美和ゼミ■英語圏文化研究室


朝ドラ「ごちそうさん」食シーンの研究
戦時中の食シーンに映る時代背景の変化


 私は、連続テレビ小説「ごちそうさん」の食シーンの研究を行っている。日常を描いた物語は、必ずと言っていいほど食シーンが取り入れられている。それは食シーンから、その物語の時代背景やその人の心情、育った環境などいろいろなことを表現できるからだと思う。2013 年から半年間NHK 連続テレビ小説で、国民的人気であった「ごちそうさん」を題材に研究を進めた。その中でも戦時中の食シーンから時代背景の変化に伴う食文化の変化に焦点をあてた。
 昭和20 年、大阪大空襲の影響を受け、疎開が始まっていた。食材もない状況で代用品でお腹を満たし、若者たちの戦死の通達や赤紙が届くなど重たいシーンが多く描かれている。戦争が終わり、空襲によって被害を受けた大阪は見るも無残な姿になっていた。そんな状況の中生き延びた人々は今後の復帰に向け、闇市を開き、残った食材を工夫して利用し、食を通じて笑顔になっていくシーンがある。次第にアメリカの食材や物資が日本に入る中、敵国に対する不信感や嫌悪感をいだく人もいる中、食を一つのコミュニケーションのアイテムとして寄り添っていくようなシーンもある。
 このようなシーンから、大阪大空襲の被害の大きさや実際どのような代用品が使われていたのか、アメリカはどのように日本を支配していったのかなどを調査した。
 食シーンに表れていることを自分で調査することで、より日本の歴史や食の変化を知ることができる。また、その食シーンの食べ方や料理、食卓の場の会話から登場人物の心情や状況の変化を理解し、食文化以外にその時代の人々の生き様や関係性を知ることもできる。