香友会主催講座・講習会
平成30年度第3回「元気はつらつ市民講座」開催報告

~川越喜多院、天海に学ぶ食と健康~

 平成30年10月3日(水)10時30分より、香川綾記念教育交流センター香友会館において「元気はつらつ市民講座」が開催されました。
 今年度第3回目となる今回の講座は「川越喜多院、天海に学ぶ食と健康」と題して、女子栄養大学特任教授松尾鉄城先生をお迎えし、歴史の中の食文化について楽しく丁寧にわかりやすくお話していただきました。
 そして、シンプルでメリハリのあるお砂糖を使わない健康的な和食も美味しく堪能させていただきました。先生の素敵な笑顔とにじみ出る優しいお人柄。内容の濃い充実した時間となりました。以下講演内容を簡単にまとめました。

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講師の松尾鉄城先生

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講義の様子



 「川越喜多院」(埼玉県川越市)は、徳川家光が江戸幕府第3代将軍の時、川越の大火事があり、再建されました。この時天海僧正104歳。平均年齢が40歳くらいの時代です。現在、喜多院には108歳の長寿を全うされた第27世住職「天海大僧正」の座像が安置されています。
 その教えは「長命は 粗食 正直 折々 ご下風 遊ばさるべし」
 徳川家康、秀忠、家光3代の将軍は天海大僧正を尊敬して、この教えを守り実践し、庶民と同じような「粗食な健康食」を好んで徳川265年間の礎を築き、家康自身も75歳の長寿を全うしました。喜多院には江戸時代、江戸城紅葉山から移築された安土桃山時代の建物を模した、家光の御殿も残っています。
 地域の歴史・文化を支えるのは、文献資料、事象資料など「実証的な真実」、そして言い伝えやいわれなど「伝承的・伝統的な真実」の両面を受容することから始まり、私たちは誰でも歴史について感じ、考えることができるのですと先生は言われます。そして豊富な資料や言い伝えなども例に挙げて川越喜多院の時代背景や流れをご紹介いただきました。そのお話の折々に、必ず食文化に繋がる「食物」の話が豊富に盛り込まれ、健康な食生活のヒントにもなりました。

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熱心に聴講する参加者の皆さん


 川越というとさつまいもを連想しますが、さつまいもは江戸時代後期に入ってきた新しいもの。昔、イモといえば、「里芋」で、里芋は奈良時代に栽培が広がり、庶民の日常の食べ物であり、薬としても重用された滋養食。お月見は「芋名月」とも言われ里芋が使われていました。
 小松菜、イワシ丸干し、芋がら縄、麦飯などにまつわるお話。そして「粗食」とは粗末な食事を意味するものではなく、地元の食材を選びながら四季を感じたり薄味で食材本来の旨みを楽しんだり、自然と寄り添ったりする「食」のこと。ご飯とお味噌汁に少しの副菜と香の物などの食事のことを粗食と呼ぶと改めて「粗食」についても考えさせられました。家康も海や川の魚を好み、麦飯とイワシの丸干しなど粗食に徹し、健康を意識した食事をしていたそうです。
 様々な健康食のレシピも掲載された資料もいただき、初めて伺う歴史の中で伝承されてきた食文化。先生の柔和な雰囲気、あふれる情熱が感じられる、もっと聞きたい!学んでみたい!と感じる素敵な、そして美味しい講演会となりました。

本日の試食メニュー
胚芽精米のご飯、納豆汁、きんぴらごぼう、蕪蒸し、柿、酒まんじゅう

〔取材 香友会広報部〕