令和7年11月8日(土)14時より、令和7年度第2回「専門家講座」がオンラインにて開催されました。当日は多くの方がライブ配信に参加され、後日オンデマンドでも配信されました。講師は女子栄養大学副学長・栄養学部教授の武見ゆかり先生です。

武見ゆかり 先生

今回のテーマは「加工食品と健康:超加工食品の摂取はなぜ問題なのか 健康および食習慣との関連から考える」。講演内容は下記の通りでした。
超加工食品(UPF)とは、ファストフード、インスタント食品など高度に加工され、複数の添加物が加えられた食品や飲料の総称で、ブラジルの公衆衛生学者Carios A Monteiroらによって2009年頃に提唱された概念です。食品は含まれる栄養素によって分類されていますが、UPFは加工の目的や加工レベルによって食品を4グループに分類する「NOVA分類」で最も加工度の高いものとされています。因みにNOVA分類で一番加工度が低いグループ1は、新鮮な野菜や果物、生の肉や魚の切身、無糖ヨーグルトなど。グループ2は、塩や植物油などの調味料。グループ1と合わせて調理時に使うものです。グループ3は比較的シンプルな加工食品。缶詰や瓶詰の野菜や豆類、ハムや食パン。豆腐なども入ります。グループ4にはチキンナゲットなどのファストフード、インスタント食品や清涼飲料水、菓子パンなどが含まれるとの説明がありました。
近年UPFの摂取と食事の質・健康への関与について国際的に話題となっており、ブラジルやカナダの先行研究ではUPFの利用が多い人は脂肪エネルギー比率が高く、肥満や過体重の人が多い、あるいは高血圧のリスクが高いことが報告され、「2015年アジア栄養学会議(CAN)」ではUPFの摂取増加による肥満パンデミックへ警鐘が鳴らされたそうです。
日本の状況については2011年国民健康・栄養調査より、埼玉県民のデータ再解析や神奈川県真鶴町の特定健診受診者の食事調査などを示してくださいました。その結果UPFエネルギー割合が高い群では脂肪・飽和脂肪酸エネルギー比率・高、たんぱく質エネルギー比率・低、食物繊維等・少。望ましくない栄養素等摂取状況と肥満につながる可能性があることが示唆され、逆にUPF利用割合低群では食事バランスを遵守し、食品の多様性が保たれていることを教えてくださいました。
最後にまとめとして、超加工食品(UPF)の摂取をどのように考え、どう付き合っていくのかについてお話がありました。商品も消費も増え続けるUPFへの解決策の1つは依存し過ぎないこと。そして食事づくりの意義を見直すことだそうです。何故なら食事づくりのスキルが高いとUPFエネルギー割合が2~4%程度低いという結果が出ているからです。またUPFに頼らない食環境の整備を進めていくことも必要なことだと説明してくださいました。
講座終了後は活発な質疑応答があり、参加者の関心の高さが伺えました。超加工食品(UPF)は最近メディアでも取り上げられる機会が増えていますが、“完全栄養食”“〇日分の〇〇が摂れる”と謳っているものも実はUPFであることに気づかない人も多いと思います。同時に私達の近年の食事に占めるUPFの割合の増加を考えると、栄養指導の上でも、私たち個人の食生活面でも、どのように付き合っていくのかを考えることは大事なテーマだと感じました。改めてUPF摂取の問題点、解決策について理解を深めることができ、参加者の皆さまの仕事や食生活に役立つ講習会でした。
取材・報告/香友会広報部