令和8年7月25日(土)14時より、令和8年度第1回「専門家講座」がオンラインにて開催されました。当日は多くの方がライブ配信に参加され、後日オンデマンドでも配信されました。講師は、順天堂大学大学院医学研究科 スポーツ医学・スポートロジー、代謝内分泌内科学教授の田村好史先生です。
今回のテーマは「女性の低体重/低栄養症候群(FUS)について~低栄養が女性の疲労の主因? 2025年新提唱FUSの意義と栄養専門職の役割~」です。順天堂大学のスポートロジーセンターは2007年に設立され、田村先生はその中心となり予防医学の視点から多様な研究を進めてきました。2023年度からは内閣府の助成を受け「女性のボディイメージと健康改善のための研究開発」に取り組んでいます。

田村好史 先生
本講座では、研究で明らかになってきたことを中心に
まず、「1.痩せていても肥満?代謝的肥満とエネルギー高回転」では、代謝的な肥満について、太ることで起こるインスリン抵抗性のメカニズムや、太っていなくても代謝疾患になりやすい理由について説明がありました。特にアジア人では、正常体重でも代謝的肥満となる「正常体重代謝的肥満」に注意が必要で、この問題は、痩せた成人女性の割合が高い日本の女性にもあるのではと研究が進められました。その結果、痩せているにもかかわらず代謝的に肥満の状態である「低体重代謝的肥満」が存在することが、世界で初めて明らかになったということです。さらに、痩せた女性はインスリン分泌不全もあり、2025年に認定された「5型糖尿病」に似ているとの指摘がありました。また、「高血糖・サルコペニア・インスリン抵抗性の悪性サイクル」の話から、「食べて→運動する」という「エネルギー高回転型」の生活がどんな女性にとっても重要であることが分かりました。
次に、「2.FUSとは?」では、FUS(女性の低体重/低栄養症候群)が生まれた背景や定義、注意点について説明がありました。FUSは2025年4月17日に日本肥満学会を中心としたワーキンググループから発表されたもので、現在は18歳以上・閉経前までの成人女性を対象としていますが、診断基準はまだありません。成人女性が訴えることの多い頭痛、冷え、疲労感などの体調不良は、FUSと深く関係している可能性が示されました。また、痩せ願望は小学校1年生から見られ、個人の意識や行動に焦点をあてるだけでは不十分で、瘦身願望を生み出す社会構造への働きかけが必要であることが分かりました。
続いて「3.脳と骨を守る運動」では、体力の低下やメタボリックシンドロームが脳白質変性と関連すること、中高生期や現在の運動習慣が、将来の骨粗しょう症や軽度認知障害と関係することが示されました。
今回のお話を通して、「食べて→動く」というエネルギーを回転させる生活習慣の大切さを改めて認識しました。また、「痩せ願望」に関しては、大人が子どもに何気なくかける「そんなに食べたら太っちゃうよ」、「痩せてよかったね」などの言葉も、痩せることへの価値観を与えてしまう可能性があることも分かりました。栄養の専門家としてFUSをしっかり理解し今後に生かしていきたいと感じました。当日は質問も多く学びの多い時間となりました。
取材・報告/香友会広報部