香友会主催講座・講習会
令和3年度第1回「専門家講座」開催報告

テーマ:「日本食品標準成分表2020年版(八訂)の概要と活用方法」
講 師:渡邊智子先生(東京栄養食糧専門学校校長)

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2年振りの開催となった令和3年度第1回専門家講座はオンラインでの開催となりました。講師には日本食品標準成分表の策定に30年の長きにわたり携われている渡邊智子先生をお招きし、講義は令和4年2月12日(土)14時よりライブ配信されました。また当日の録画が2月18日(金)10時から2月20日(日)22時までオンデマンド配信されました。

「日本食品標準成分表2020年版(八訂)(以下、成分表2020)」が2020年12月に公表されて1年たちました。講師の渡邊智子先生は三訂補時代から30年以上食品成分表改訂に携わっている食品成分表の生き字引と言って過言ではありません。
食品成分表は科学的な確からしさの更なる向上を目指して改訂を続けてきていますが、今回の改訂は収載食品数の増加のみならずエネルギー計算方法変更に伴い、全ての食品のエネルギー量が変更されたことで、大改訂といわれています。
先に公表された日本人の食事摂取基準2020を絡めて実務で活用することも含め、この成分表の概要(改訂のポイント)と活用方法(適切な栄養計算方法)を解説していただきました。

≪改訂のポイント≫

  1. 調理済み食品に関する情報の充実
  2. エネルギー計算方法の変更
  3. 組成成分表の充実
  4. 収載食品数の増加と計算食品の収載値の改訂
  5. 成分の追加(ナイアシン当量と難消化性オリゴ糖を含む食物繊維)
  6. 解説の充実
  7. 表頭項目の変更


≪成分表2020の活用:確からしい栄養計算のポイント≫

  1. 栄養計算のための質量の理解と把握
  2. 摂取する食材と成分表の食材を一致させる
  3. オリジナルの食品を計算し登録する
  4. 水道水の無機質(カルシウム)を考慮する


≪日本人の食事摂取基準2020の活用にあたって≫

成分表2015年版(七訂)の方法でエネルギーを計算し、成分表2020年版(八訂)のエネルギーの値と比較してみることがたいせつです。どの献立でどれだけ違うかがわかるので、ぜひご確認ください。今後の対応を考えることができます。

上記講義概要とあわせて「女子栄養大学出版部Webマガ」に食品成分表について連載されています。ぜひご活用ください。

 

本講座のオンラインでの参加者は65名で、参加者の内訳は管理栄養士が9割、栄養士1割でした。職域は多い順に行政、病院、事業所・学校、保育園でした。講座を受講して「とても役立った」が8割「役立った」が2割でした。また参加者の居住地は、埼玉・千葉・東京・神奈川の近県在住が75%、その他が25%でしたが、会場に行かずに受講できることの評価は高く、コロナが収束してもオンライン継続を望む声がありました。オンデマンド配信についてもライブ配信の後で繰り返し視聴して確認できるメリットが高く評価されましたが、オンデマンド配信の期間延長を望む声も複数ありました。

〔取材 香友会広報部〕