香友会主催講座・講習会
2019年度第3回「専門家講座」開催報告

テーマ:高齢者の診療ガイドラインを巡って~栄養食事マネジメント~
講 師:本田 佳子先生(女子栄養大学教授 医療栄養学研究室)

 

講師の本田佳子先生

2019年(令和元年)9月28日(土)、女子栄養大学駒込校舎において、女子栄養大学教授の本田佳子先生を講師にお迎えして「高齢者の診療ガイドラインを巡って~栄養食事マネジメント~」をテーマに講義をしていただきました。
 2019年10月に「日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2019」の刊行が予定されており、まだ公表されていない時点での本田先生の講義はとてもタイムリーなものでした。本講座の受講者は、仕事に役立てたいと参加した専門職(管理栄養士・栄養士)の方が多く、また、後期高齢者になったので自分のためや、介護食士取得のための基礎知識を学ぶために参加した人もいました。


 
《講義内容》
*「高齢者に対する適切な医療提供の指針」
* 「高齢者脂質異常症診療ガイドライン2017」(2017年10月日本老年医学会)
*「高齢者高血圧診療ガイドライン」(2017年10月日本老年医学会)
*「高齢者肥満症診療ガイドライン」(2018年10月日本老年医学会)
*「サルコペニア・フレイルを合併した保存期CKDの食事療法の提言」
(2019年5月日本腎臓病学会)
*「サルコペニア・フレイルを合併した透析期CKDの食事療法」
(2019年7月日本透析医学会)
*「高齢者糖尿病診療ガイドライン2017」
(2017年10月日本老年病医学会・日本糖尿病学会)
*「糖尿病診療ガイドライン2019」(2019年10月日本糖尿病学会)(刊行予定)
 
上記の指針及びガイドラインをひも解き、多くの新しい情報を取り入れながらそれぞれの内容を解説していただきました。
 
 近年、高齢者、特に後期高齢者(75歳以上の高齢者)が急増してきました。それに伴い高齢者への医療提供が難しいものになってきています。高齢者は、加齢に伴う生理的変化により病気の表れ方も治療に対する反応も若年者とは異なり、複数の疾患を併せ持っていたり慢性疾患を抱えていたりします。また、低栄養、介護の有無、フレイル、サルコペニア、認知症、アドヒアランスの低下など、高齢者は若年者に比べてひとり一人の身体及び精神の状態が異なるので、高齢者特有の病態や機序に沿ったエビデンスに基づく医療が必要になります。個別にしかも包括的に考えた治療及び栄養食事療法や指導が求められます。
 
 高齢者用のガイドラインを通して、高齢者が抱える問題点や栄養マネジメントの考え方を学ぶことができました。説明をしていただきながら読み進めるガイドラインはとても理解し易かったです。参加者からも「高齢者ガイドラインの内容を理解できた」「今後の指導に今日聴いたことを生かしたい」「時間が短かったのでもっと聴きたかった」などの感想を多くいただきました。「糖尿病診療ガイドライン2019」(発刊前だったので資料は無し)の中の重要な所をいち早く知ることができたこともあり、今回の講座に参加してよかったと思いました。 

         


 〔取材 香友会広報部〕