身近な発酵食品を楽しむ
平成29年9月5日(火)10時30分より、香友会館において、講師に女子栄養大学栄養科学研究所教授の根岸由紀子先生をお招きして、「身近な発酵食品を楽しむ」をテーマに元気はつらつ市民講座が開催されました。
講師の根岸由紀子先生
発酵食品についての講義を聴き、その後先生が講義内容に合わせて考えられたレシピの料理を試食しました。耳から情報を得て舌で味を体験できるこの講座は毎回とても好評で、今回も坂戸市や鶴ヶ島市など、香友会館の近隣にお住まいの方々(50才~70才代)が多数参加しました。
発酵食品とは、食材を微生物や酵素などの作用で発酵させ加工した食品をいいます。発酵を利用して食品の風味を変化させたり、硬さを柔らかくします。また冷蔵庫や保存料がなかった時代には、保存食を作るという目的でも発酵は使われてきました。発酵食品は日本の食事の中で独特の変化を遂げ、日本の伝統食品として大事にされ今日まで受け継がれてきました。発酵は有益な方向に利用すること。それに対して腐敗は人にとって有害な物質に変化する現象をいいます。
発酵食品には
・主にカビの作用による食品=鰹節 てんぺ 甘酒 他
・主に酵母の作用による食品=ビール ワイン ウイスキー 他
・主に細菌の作用による食品=チーズ 納豆 くさや 塩辛 他
・数種類が作用している食品=醤油 キムチ 味噌 清酒 漬物 他
その他、紅茶、アンチョビなども発酵を利用しています。この日の試食に使われていた麹は、蒸した米や麦に麹菌がはえたもので、麹菌が食品中のでんぷんをブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に分解することで甘味や旨味味を作る作用があります。
毎日何気なく食べている食品の中に、発酵食品がこのようにたくさんあったとは驚きました。発酵は食品の風味を変えるだけのものではなく、栄養価を高めたり保存するためにも考えられたものでした。今回の講座では発酵という化学反応と共に、先人達の知恵のすばらしさに触れることができました。
気軽に食品の専門的な知識を学べるこの市民講座を、多くの人にお勧めしたいと思いました。
〔取材 香友会広報部〕