令和6年3月26日(火)11時より、神奈川支部体験学習会を開催しました。新体制となって初めての行事でしたが、大雨に見舞われてしまいました。しかし、参加者は18名と多くの方に参加いただきました。
曹洞宗大本山總持寺の敷地は広く、寺院だけでなく、歯科大学や中高一貫校や幼稚園や、墓地など含めると東京ディズニーランドと同じ敷地面積があります。その広い敷地の中、専門のガイドさんより様々な場所を案内いただきました。
はじめは「香積台(こうしゃくだい)」という、玄関。その入り口には18mという高さの「しゃもじ」と「すりこぎ」がそびえ立っています。その正面廊下の奥に大黒様がお祀りされています。
次は「待鳳間(たいほうかん」」そして長さ164mの百間廊下を通って、修行僧が座禅や食事、睡眠を規則正しくおこなって修行される「大僧堂(だいそうどう)」。修行僧は、自分の座禅用座布団をもってきて座禅をし、睡眠を含め個人の空間は1畳の広さだそうです。
お釈迦様がお祀りされている仏殿、儀式を執りおこなう「大祖堂(だいそどう)」禅師さまが全国の寺院と親しく相見する大書院の「紫雲臺(しうんたい)」。ここには多くの日本画や彩色画が残されていました。ここで、全員で記念写真を撮りました。
その他、宿泊施設やセレモニー会場など、1時間を超えて案内いただきました。歩いた歩数は約6000歩になりました。案内の最後は玄関に戻り、大黒様についてお話を伺いました。日本一大きな大黒様だということでした。大黒様はインドの神で、飲食を司る神。農産・福徳の神大国主命と習合し温和な福の神となったということです。
その後、待ちに待った「精進料理」をいただきました。精進料理の基礎を築いたのは道元禅師といわれています。總持寺では修行僧が料理を作ります。坐禅や作務(掃除)と同じように、料理を作ることも、食べることも仏道修行のひとつとされているそうです。地球上のありとあらゆるものに命があり、植物にも命があります。ですから、感謝の心を持って、その「命をいただく」ことを意識しながら料理をし、いただくのです。
まずは「五観の偈」をお坊さんが読み上げ、後に続いて皆で読み上げました。そして、背筋をただし、「いただきます」を唱えてから、お食事をいただきました。箸の置き方や食べ方も様々なルールがありますが、常識の範囲で静かに口数少ない状態で美味しくいただきました。食べ終わりのマナーとして漬物を1切れ残し、ご飯茶碗に漬物を入れ湯桶を注いで綺麗にして終わりにする。そして、最後に皆で「五観の偈」の終わりの言葉を唱えてから「ごちそうさまでした」で終了となりました。
精進料理:春野菜の天ぷら5種、胡麻豆腐、生麩の煮物盛り合わせ、切り干し大根の煮物、胡麻和え、味噌汁、竹の子ご飯、うずら豆の甘煮、味噌汁、漬物
お料理は美味しくいただきました。修行のための食事は種類も少なく、私達がいただいたものより、もっと寂しいものだということです。肉や魚など動物性の食品や香りの強いニラやネギなど使わずに、季節の自然の食材を上手に使い、また、植物性タンパク質である麩や胡麻をたっぷり使っていることで、カルシウムやビタミンDなども摂取出来ます。メニューもうまく組み立てられていると感じました。命をいただくことを感謝し、私達の生命はその「食」にあることを改めて考えるよい機会となりました。
食後、境内の喫茶室で懇親を深める予定でしたが、お休みだったため、支部の皆さんとの交流があまり出来なかったことが少し心残りでした。大雨の中でも、館内の見学でしたので、企画した幹事は少しホッとしました。参加の皆様の笑顔にも救われました。今後も体験型の企画を広げていきたいと思います。
報告:神奈川支部 支部長 飯泉千寿子(学部昭和56年卒)