香友会主催講座・講習会
令和8年度第1回「元気はつらつ市民講座」開催報告

 令和8年10月7日(水)13時30分から、香友会館にて第1回 「元気はつらつ市民講座」を開催しました。市民講座は香友会館周辺の地域にお住まいの方を対象に、各回食生活や食文化、健康増進に役立つテーマなどを取り上げて開講しています。
 今回は「季節の上生菓子~練切」と題し2種類の上生菓子づくりに挑戦しました。このテーマは毎年好評で今回が3回目となります。リピーターの方も多く定員30名が満席となる盛況でした。
 講師は御菓子司 いゝ島の飯島靖博(いいじま やすひろ)先生と飯島いくみ先生。店主の靖博先生は香川栄養専門学校(現 香川調理製菓専門学校)調理高等課程製菓科をご卒業、銀座清月堂本店などで勤務の後、葛飾区柴又に店を持たれました。


講師画像

飯島いくみ 先生

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飯島靖博 先生

 

 

 

 

 

 

 


 最初に、飯島先生から菓子作りでは材料を手に取って扱うので作業前には丁寧な手洗いをして衛生面に配慮するのが大切とのお話があり、各自手洗いを済ませて着席。受講生の前にはあらかじめ材料(計量された練切あんとこしあん)と細工に使用する道具(菜箸、ガーゼ、綿棒)が用意されており、期待感が高まります。

 講習は最初にデモンストレーションと説明がありその後に各自が制作します。次に先生による同じ菓子の2回目のデモンストレーションを見て、ポイントを確認しうまくいかなかった点を修正しながらもう一度作るという流れで進みます。受講生が作っている時には先生が各台を回って細かいアドバイスをしてくださり、細工に苦戦しながらも笑いと先生の技術に感嘆する声が聞こえるなごやかな雰囲気です。

 1つ目の「山づと」は柿をかたどった菓子。柿の実にあたる橙色の練切あんでこしあんを包んで柿の形に整え、挽茶の練切あんで作ったへたをつけます。
 橙色の練切あんの一部を少量取り分け、本体は平らな円形にまとめます。指の関節でくぼみを作って挽茶の練切あん、取り分けておいた橙色の練切あんを重ねてなじませ、こしあんを包んで丸めると、へたを付ける部分にほのかに緑色が透ける繊細な風情が生まれます。この生地を角が丸みを帯びた四角形(三味胴=しゃみどうと言う)にまとめ、さらに指を使って側面と表面をくぼませると見事に柿の形になります。へたを付けた後、仕上げには、箸の先にガーゼをきつく巻き付けたものでへたの真ん中を軽く押してなり口のしわを表現して完成。
 菓子名の「山づと」は一般的には栗をさすことが多いそうですが、本来は山からのみやげという意味であることから、山になっている柿にちなみ、その名を冠したそうです。

和菓子画像

「山づと」

 2つ目の「残菊」は薄紅色の練切あんでこしあんを包み、細工で菊の花を表した菓子です。
中国では奇数は縁起が良いとされ、奇数が重なる日を祝う節句の風習が日本に伝わります。中でも最も大きい9の数字が重なる9月9日は大変尊ばれました。9月9日の重陽の節句には、菊の花に真綿をかぶせて露に当て真綿に移った菊の香を楽しむしきたりがあり、重陽の節句以降に菊をかたどった菓子を用いる所から「残菊」の名前がついています。
 薄紅色の練切あんを丸く伸ばし広げ、真ん中に白い練切あんを貼って合わせ目を指でなじませながらぼかします。この生地でこしあんを包み、白い部分が上に来るように丸く整えます。中央に印をつけ、ここを起点に、綿棒で生地の表面を中央から外に押すように動かすと先端がほんのり白い菊の花びらが一枚出来上がりました。これを菓子を少しずつ回しながら放射状に繰り返し、最後に黄色い練切あんをしべに見立てて丸め花びらの中央に置くと残菊の完成です。やってみると大きさがそろわなかったり花びら部分が沈んだように見えたりと悪戦苦闘。「綿棒は押すというより滑らせるように」「花びらの細工をする時は生地を動かしながら」とお手本を示しながらの先生のアドバイスを受けて完成を目指します。生地を固定して細工する時には手のひらに乗せて、動かしながら細工する時にはそろえた指の上で扱うとよいなどプロならではのコツも教えていただきました。和菓子画像

 2時間の講習で、受講生は季節を感じられる2種類の菓子を4個作りあげました。お茶を頂きながら試食したり持ち帰り用に菓子をしまったりするまで、充実した時間を過ごすことができました。練切あんとこしあんという同じ材料の組み合わせなのに、高い技術によってそれぞれに個性的で季節感を感じる菓子が生まれる世界に、改めて和菓子の奥深さを感じました。

会場画像

会場の様子

報告:香友会広報部